主に細幅鍵盤の事を、個人的な戯言を交えながら徒然なるままに書いているブログです。このブログの趣旨をまとめていますので、初めてお越しの方は、宜しければカテゴリ欄の「記事の概要」をご一読ください。
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06/07
この100年のピアノの歴史にダニエル・バレンボイム氏が新風を吹き込みました!
世界中で細幅鍵盤の普及活動をするグループ、PASK(※)よりニュースを受け取りましたので、今回はそちらをご紹介させて頂きたいと思います。
以前は"Pianists for Access to Smaller Keyboards"でしたが、今は"Pianists for Alternate Size Keyboards"に名称が変更されています。


アルゼンチン出身のユダヤ人ピアニストで指揮者のダニエル・バレンボイム氏が、ベルギーの楽器製作者のクリス・メーン氏と共に、新方式のピアノを開発し、先月の26日にロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで初公開したそうです。

こちらがそのニュース記事(英文)です。

Daniel Barenboim unveils a brand new grand piano

こちらの記事でピアノの音が聞けます。

BBC NEWS - Daniel Barenboim designs 'radical' new piano

日本語の記事もありますね。

ダニエル・バレンボイム氏、音質面で抜本的な改善が図られた新方式のグランド・ピアノを発表


上記の"Daniel Barenboim unveils a brand new grand piano"の記事を翻訳しましたので、掲載させて頂きます。



DANIEL BARENBOIM UNVEILS A BRAND NEW GRAND PIANO
ダニエル・バレンボイムが真新しいグランドピアノを初公開します。

ベルギーの楽器製作者のクリス・メーンと、高名な指揮者でピアニストのダニエル・バレンボイムが、革新的な新しいコンサート・グランドでピアノ界を根底から覆します。

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ダニエル・バレンボイムは、ウィーンでのニューイヤーコンサートの客演指揮者、音楽基金の大使、(パレスチナ、イスラエル、および他のアラブの国々からの若い才能が、平和の下で共に演奏する)ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団のけん引役であるだけでなく、名高いピアニストでもあります。
ベルギーの楽器製作者のクリス・メーンと共に、今日私たちが知る形のピアノ界を変えるかもしれない、真新しい楽器を着想し、開発しました。

今日、モダン・ピアノは高度に統一されることとなりました。この100年の間、モダン・ピアノの設計には多くの抜本的な変化がありませんでした。さらに、ベルギーでコンサート・グランドピアノが造られてから80年以上経ちました。
現在、ピアノが主にアジアで造られていて、ヨーロッパにピアノ工場があまりない時代に、クリス・メーンは21世紀に向けて、このコンサート・グランドのための開発、研究および築造に投資しています。

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写真: クリス・メーン

過去から着想を得た真新しい楽器を作製したい気持ちもあったクリス・メーンを彼(バレンボイム)に引き合わせたスタインウェイ・アンド・サンズと共に、バレンボイムは彼の考えについて意見を交わしました。
2人の巨匠は、彼らの共通のビジョンの研究を開始するために、彼らのそれぞれの音楽的および技術的な専門知識を結び付けることができました。
ちょうど15ヵ月前、バレンボイムの個人的な技術者、ミシェル・ブランドジェズは、クリス・メーンのコレクションから抜粋したいくつかの19世紀の歴史的なグランドピアノと、彼によって造られた注目に値する複製のうちのいくつかを試してみました。
その後、開発・作製され、試され、そして今日公開された、新しい楽器の詳細な構想を考えるよう当時メーンに依頼したバレンボイムと共に、楽器の音や技術的側面に関する彼の調査結果や感想が話し合われました。

ダニエル・バレンボイムは以下のように述べています。

『伝統的なストレート・ストリングス(真っ直ぐに弦を張った)楽器の透明度や音の特性は、その全範囲にわたって、モダン・ピアノにより生み出された同種の音調とはまったく異なります。リストのピアノのその音域の至る所で明確に区別できる声部や音色は、現代のスタインウェイの力、外観、タッチの均一性、調律の安定性、および技術的優位性を、これらの音質と兼ね備えることの可能性を探ろうという気持ちを私に呼び起こしました。私は同じ夢を持つクリス・メーンと共に仕事をしたことを非常に嬉しく思っており、そして私は、彼のとてつもない技術的専門知識と、伝統と革新の両方への彼の深甚な敬意を称えなければなりません。私は、伝統的な音質と現代的な長所の完全なる適合を可能にするように、私たちを呼び集め、私たちの新しい楽器のための重要な要素を伝えたことに対し、スタインウェイ・アンド・サンズにもお礼を申し上げます。』

クリス・メーンは以下のように述べています。

『生涯ずっと、私は伝説に残るほど有名で歴史上重要な楽器の複製を造ってきました。長い年月を別にすれば、私も新しいタイプのコンサート・グランドを造ることを夢見ています。19世紀のグランドピアノの非常に優れた独特の音色の多様性がどのように姿を消したかは、前々から私を驚かせていました。19世紀の終わり頃には、多くのピアノ職人がスタインウェイ・アンド・サンズの成功を真似ようとしていました。この過程で、彼らは皆、それらの独特な音色が持ち味のストレート・ストリングス(真っ直ぐに弦を張った)グランドピアノに見向きもしませんでした。結果として、20世紀は、私たちに構造や音の点が非常によく似た楽器を提供しました。そのため、私の目標がスタインウェイの別のコピーを造ることであったことは1度も無く、むしろ、歴史上の楽器の創作に関する私のすべての専門知識を取り入れ得る、異なった楽器を造ることであります。巨匠ダニエル・バレンボイムと共に働けることは、まさしく名誉なことでした。私は巨匠を非常に敬愛しており、ストレート・ストリングス(真っ直ぐに弦を張った)ピアノへの私たち共通の関心を知ることができて光栄でした。彼からの情報、信頼、および注文は、21世紀のコンサート・グランドピアノである、この新しい楽器を創り上げることを可能にしました。私にとって、それはまさに夢の実現です。』

クリス・メーンとダニエル・バレンボイムは、本日、そこでのダニエル・バレンボイムのシューベルトのピアノ・ソナタ・リサイタル・シリーズの前に、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで新しい楽器を公開しました。




現在使われているモダン・ピアノの設計には、100年もの間大きな手が加えられることは無かったんですね。
今回のバレンボイム氏とメーン氏のピアノの設計はかなり大胆なものだったようで、長い間ほとんど変化の無かったピアノ界に大きな衝撃を与えたようですね。

ちなみにこちらのピアノですが、新方式以外にもう1つ特徴があるのだとPASKを通じて情報を頂きました。
ピアノの写真を見て、「おや?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、鍵盤の幅が標準鍵盤よりオクターブ毎に1cmずつ細くなっています。
スタインビューラー社のDS6.0(15/16)鍵盤と、カワイの細幅鍵盤GM-12グランドの鍵盤幅もだいたいこれくらいです。
そして、中田喜直さんやショパンが使っていた鍵盤の幅もこれくらいだそうです。

バレンボイム氏は細幅鍵盤という考え方を評価されているようで、2008年の時点で既にご自身のリサイタルでも細幅鍵盤をお使いになっています。
それで今回のピアノの鍵盤もご自身の弾き易い幅に造られたのかもしれませんね。

http://littlehands782.blog.fc2.com/blog-entry-50.html


バレンボイム氏のピアノの鍵盤と標準鍵盤がどれくらい違うのかが気になったので、私なりに画像を使って比較してみました。

スタインウェイD型の鍵盤部分の画像と、今回公開されたバレンボイム氏のピアノの鍵盤部分の画像の大きさをどうにかこうにか揃えてくっつけてみました。
上がスタインウェイで、下がバレンボイム氏のピアノです。

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※ 画像をクリックすると大きな画像が表示されます。

確かに細くなっているようですね。
もう少し分かりやすくなるように、オクターブを揃えて線を引いてみました。

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きっちりスケールが合っているわけではないので、多少の誤差はあるかと思いますが、だいたいこんな感じかと思います。

ピアノのブランドに新たに加わった、この『Barenboim-Maene』というピアノが、今後色んなところで紹介されて、たくさんの人たちの目に触れることで、同時に細幅鍵盤(鍵盤幅を手の大きさに合わせる)という考え方の認知度も上がっていってほしいものですね。


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コメント

こんばんは^^)
バレンボイム氏、やりたましたよね~☆☆☆☆☆

前回、ニュースがあるとのコメでなんだろう?と実は
検索していたらリンクの動画を見つけてました。
これで間違いなかったのですね~。

それにしても、内容を拝見していると、中音・低音部の弦の交差・・
言われないとそれがあたりまえとしか
私自身も疑うことすらしたことがありませんでした。

並行にする事でこんなにも音の「濁り」が改善される
わけですね~。(フレームの強度も増したようですし)
もうこれは画期的かつ今後のピアノの製造に大いに役に立つと思われます。
そして、わざわざ交差する弦で濁った音のピアノを…という
これからピアノを購入していく人たちの「改革」にも繋がりそうな気がします。

その内、私の方でもどんどん(細幅装着)も兼ねて継続的に宣伝して行きますよ~。
とにかくバレンボイム氏達のピアノ・・・ピアノ界の発展のためにも大変素晴らしすぎる話でした。

それと、私の知人のブロガー様が先週末からあの大宝館所蔵の中田喜直さんの
ピアノを見学に行ってある方がおられます♪ 記事を楽しみにしているところです。
酢~ [URL] 2015/06/07(日) 19:40 [編集]

酢~様
コメントありがとうございます(^^)

> バレンボイム氏、やりたましたよね~☆☆☆☆☆

本当にやってくれましたよね~(^^♪

> 前回、ニュースがあるとのコメでなんだろう?と実は
> 検索していたらリンクの動画を見つけてました。

やはり見つけていらっしゃいましたか。
私もその後検索してみて動画や日本語の記事があることを知りました。

> それにしても、内容を拝見していると、中音・低音部の弦の交差・・
> 言われないとそれがあたりまえとしか
> 私自身も疑うことすらしたことがありませんでした。

私はそもそもどのように弦が張られているのかを知らなかったので、そのような事情があったことに驚きました(^_^;)
このニュースを見て初めて知る方も少なくないでしょうね。

> 並行にする事でこんなにも音の「濁り」が改善される
> わけですね~。(フレームの強度も増したようですし)

多分、仕組みの上でも、そして見た目的にも、交差させるより並行に真っ直ぐ張った方がスッキリするでしょうね。
思えば、モダン・ピアノが発明されてから既に百数十年も経過しているわけですから、当然その間に工業技術の方は飛躍的に進歩していますよね。
そういえば、例の発言小町の中で「そもそもピアノは完成形なのか」という疑問を呈していた方がいらっしゃったと思いますが、このピアノをきっかけに、決してピアノは“完成形”ではなかった。百数十年前に発明された時点で、当時の工業技術の未熟さ故に課題が残っていた。ということに、ピアノ界全体が気付かされたのではないでしょうか。

> もうこれは画期的かつ今後のピアノの製造に大いに役に立つと思われます。
> そして、わざわざ交差する弦で濁った音のピアノを…という
> これからピアノを購入していく人たちの「改革」にも繋がりそうな気がします。

そうですよね。
もう工業技術的にはクリアしているんですから、音が濁ってしまうことが分かっているのにわざわざ交差させる理由は無いですよね。
他のピアノメーカーもこの方式を取り入れてくるかもしれませんね。

> その内、私の方でもどんどん(細幅装着)も兼ねて継続的に宣伝して行きますよ~。
> とにかくバレンボイム氏達のピアノ・・・ピアノ界の発展のためにも大変素晴らしすぎる話でした。

宜しくお願いします(^^)
細幅装着のこともぜひ宣伝に入れてくださいね。どのメディアもこのことには触れていないので^^;
この方々はピアノ界の未来のことを本当に考えているのが分かりますよね。

> それと、私の知人のブロガー様が先週末からあの大宝館所蔵の中田喜直さんの
> ピアノを見学に行ってある方がおられます♪ 記事を楽しみにしているところです。

私も楽しみにしています(^^♪
LittleHands [URL] 2015/06/08(月) 11:13 [編集]

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[] 2015/06/14(日) 15:40 [編集]

2015/06/14(日) 15:40の投稿者様
お知らせして頂きありがとうございます。
リンク先、早速拝見致しました。
大変興味深い内容で、楽しく読ませて頂きました(^^)
LittleHands [URL] 2015/06/14(日) 17:35 [編集]

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