主に細幅鍵盤の事を、個人的な戯言を交えながら徒然なるままに書いているブログです。このブログの趣旨をまとめていますので、初めてお越しの方は、宜しければカテゴリ欄の「記事の概要」をご一読ください。
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04/30
PASK記事翻訳 - Part10 * 将来への展望・どれくらいのサイズが必要か
PASK - Pianists for Access to Smaller Keyboards(小さな鍵盤を利用できることに賛成のピアニスト)のサイト(http://www.paskpiano.org/)の翻訳も、前回からかなり間が空いてしまいました
この翻訳記事も、スタインビューラー社のサイト(http://www.steinbuhler.com/)の翻訳記事と同様にカテゴリに分類していますので、もし前の分をお読みになりたい場合は、左(スマホの場合は画面上部のメニュー)のカテゴリにある『PASKのサイト翻訳』というところからお入りください。

今回の翻訳は、"VISION FOR THE FUTURE"の前文と、'How many sizes are needed?'の内容です。




The revolution is near!
革命は近いです!

VISION FOR THE FUTURE
将来への展望

少数とはいえ無視できない数の男性、女性の大多数、および実質的に学習のある段階のすべての子供は、現在の大きさの鍵盤には小さすぎる手を持っていることは明白な証拠です。

常識は、この状況があと1世紀(100年)続くことなど絶対に無く、あと10年間続くこともできないと私たちに教えてくれています。
最終的には解決策が明らかになり、より小さな鍵盤が広く受け入れられ、世界にはもっと幸せで痛みのないピアニストや一流の演奏者が増加するでしょう。
彼らの手が小さすぎたために、アルトゥール・シュナーベル、あるいはマルタ・アルゲリッチの力量を持つどれくらいのピアニストがこれまで現れなかったのでしょうか?

解決策は、アコースティック、および電子ピアノ両方のためのより小さな鍵盤の入手可能性の増加を必要とします。

製造の観点から、アコースティック・ピアノ(アップライトおよびグランドピアノ)の大手のメーカーが、彼らのピアノのために少なくとももう2つの鍵盤サイズを生産するための準備をすることができない理由はほとんどないように思われます。同様に、デジタル・メーカーが同じようにすることができない理由もほとんどないように思われます。
様々な(大部分は文化的な)障壁を打ち砕くことができれば、その要求は現れるでしょう。

スタインビューラー社(www.steinbuhler.com)は、特に既存のグランドピアノのために造られたESPKs(人間工学的にスケーリングされたピアノ鍵盤)※を専門とする小規模企業です。これらの改造されたアクションおよび鍵盤は、数分以内に従来の鍵盤と交換することが出来ます。
また、彼らは米国のウォルター社(www.walterpiano.com)によって製造される新しいアップライトピアノのためのアクションおよび鍵盤を製造します。

ピアノの演奏の公の観点から、異なるサイズのピアノ鍵盤が存在する世界の複雑化させる要因は克服することができます。
家庭、個人レッスンの教師、コンサート会場、およびピアノコンクールが、実用的で費用効率が高い方法で問題に対処できる所で解決策は出てくるでしょう。

これらの複雑化させる要因を克服するための提案は下記の通りです。

※ 別名、縮小されたサイズの鍵盤


"How many sizes are needed?"
『どれくらいのサイズが必要ですか?』

・ 現在までの証拠に基づいて、少なくとも3つのサイズが必要なようです: 具体的には、現在の『大きな』サイズ、加えて現在の幅の15/16と7/8(即ち14/16)。

・ 7/8は、手のスパンの差により、男性が女性以上に持つ利点を大きく取り除くという点で特に重要です。(参照: Need for Narrower Keys - 狭い鍵盤の必要性Hand span data - 手のスパンのデータ

・ 15/16は、現在の『大きな』サイズよりも一層多くの個人の家に相応しい潜在的な『一般的な』サイズです。さらにそれは、現在のサイズからの適応時間を事実上必要としません。

・ また、主に子供のための、さらに小さい大きさで分けられた鍵盤の市場があるかもしれません。例えば、13/16若しくは3/4(即ち12/16)です。これらを電子キーボードの形で、あるいは低価格のアップライトピアノとして提供することができるかもしれません。
既に、非常に手が小さい少数の大人がスタインビューラー社から自分たちのための3/4鍵盤を選びました。

・ 異なるサイズの製品を生産するアコースティック・電子ピアノのメーカーは、増加した需要から利益を得るでしょう。
明らかに、大量生産されたピアノと鍵盤の中では、入手できる鍵盤のサイズの数は制限される必要があるでしょう。しかしながら、それが現在限定的であるように、特注の『他の』サイズの選択肢も利用可能であるべきです。

・ 異なるサイズの鍵盤のための標準化された鍵盤幅を導入し、それらを購買または演奏するため、それに応じてそれらに名前を付けることはメーカーにとって重要でしょう。

・ グランドピアノのために、メーカーは、家庭、音楽学校、教師、コンクール、およびコンサート・ホール使用に最大限の柔軟性を提供するために、複数の交換可能なアクションと鍵盤を購入する選択肢を消費者に供給するべきです。ですが、消費者には、グランドピアノのための1つだけの鍵盤を選ぶ選択権もあるべきです。(現在のところ、7/8鍵盤を備えたグランドピアノが欲しいピアニストは、最初に従来の鍵盤を備えたグランドピアノを入手し、その次に、スタインビューラー社から、もう1つの改造されたアクションと鍵盤を購入しなければならないでしょう。)




“常識は、この状況があと1世紀(100年)続くことなど絶対に無く、あと10年間続くこともできないと私たちに教えてくれています。”

確かにこの10年間の細幅鍵盤に関する動きを見ると、海外ではあと10年もすればかなり認識が広がっていそうな感じです。
では、日本ではどうなんでしょうね。未だに殆どの人が「細幅鍵盤」という言葉すら知らない状況・・・。

昨年の9月から海外の細幅鍵盤普及活動のメンバーの方(ロンダ・ボイルさん)と連絡を取るようになり、そのロンダさんも主要メンバーになっている“PASK”を通じて送られてくる海外での普及活動の情報を見ると、ゆっくり、ですが確実に、細幅鍵盤普及の地固めが進んでいっているようです。
特にここ数年は、コンクールでの使用、オーストラリアのピアノのグレード試験での細幅鍵盤使用の承認、カワイの細幅鍵盤ピアノの特注受付再開など、目立った動きが出てきています。
今年の7月上旬にセルビアで開催されるEPTA - European Piano Teachers Association(ヨーロッパ・ピアノ教師協会)の会議には、同じくPASKの主要メンバーの一人であるエリカ・ブッカーさんが参加され、細幅鍵盤の必要性に関するプレゼンをされる予定になっているそうですし、もしかすると今後ヨーロッパの方でも何らかの動きが出てくるかもしれません。

どれくらいのサイズが必要なのかは、細幅鍵盤がもっと広く使われるようになってくればまた色んな見解が出てきそうですが、現在ある最小の規格は3/4鍵盤(オクターブで約13cm)で、この幅であれば、標準鍵盤ではオクターブが手前からギリギリという方でも10度届くようになるそうです。
ちなみにこれ以上細い(小さい)鍵盤を造る予定は今のところ無いようです。

これに関しては、1つ前の記事の「スタインビューラー社での体験レポート」の中でロンダさんの見解を書いています。
その中で、エリカさんが(恐らく欧米人の子供だと思いますが)子供の手のスパン(手を最大限開いた時の親指から小指までの幅)を調査されたときのことが触れられていて、6歳児の手でも15.24cm未満の手は無く、10歳になるまでに子供の手のスパンはだいたい17.78cmを超えているという調査結果から、3/4鍵盤より小さい鍵盤を造る価値があるとは思えないというご意見のようです。

「じゃあ、6歳未満の子は!?」と突っ込みたくなりますが、中田氏の著書「音楽と人生」の第4章“日本人と、ピアノ”の中に、
“ヨーロッパでは、特別の例外を除き、ピアノを正式に習い始めるのは大抵7、8歳位が多い”
と書いてありますし、習わせる年齢についてネットでも調べてみたところ、外国人のピアノの先生から、
“5歳でも早すぎ。5歳ではまだ音楽が好きとか、ピアノを弾けるようになりたいという気持ちにまでなっていない為、ピアノが苦痛になり、弾けるようになる前に辞めてしまう上に、どうかするとクラシック音楽を楽しめない子供になってしまう。実際続けられる子は殆どおらず、辞めてしまう子が大半。早い段階で辞めた子も、全然習わなかった子よりは音符は読めるかもしれないが、楽曲を弾ける程ではないから音楽への関わりがとても中途半端な形で途切れてしまう為に、かえって音楽が楽しみづらくなってしまう”
と言われたというご意見も見つかりました。
そして、この外国人の先生曰く、海外では習い始める年齢を、
“一般的には10歳からを勧めている”
ということだそうです。

※ こちらの記事より引用↓
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2008/0507/182307.htm?o=0

実際、以前(名前は忘れましたが)ヨーロッパの若いイケメンピアニストの方が、テレビのインタビューでピアノを習い始めた年齢について聞かれていたときに「9歳から」と答えていたのを見たこともあるので、やはり海外では6歳未満から習わせることが殆ど無いのかもしれません。

とは言え、それでも日本人(アジア人)の子供にはもっと手が小さい子も居るでしょうし、今後バイオリンのように身体の大きさに合った鍵盤を使って子供を教えるようになってくれば、海外でももっと低い年齢から習い始める子供が増えてくるかもしれません。
それ以前に、やはり“小柄な大人”と“子供”は区別して考えた方がいいのではないかと思っています。

大人であれば、いくら小柄でも、リアルに箸より重たいものを持ったことが無いような人でもない限り、モダン・ピアノの鍵盤を叩くくらいの筋力はあると思います。実際、ロンダさん(手のスパンが17.8cm)は、7/8や3/4鍵盤で弾くときに鍵盤の重さについては問題ないと仰っています。
なぜ重さの問題を感じないのかと言うと、鍵盤の幅が狭くなればそれだけ余裕ができ、手が楽な状態になるため、指先にしっかりと力を込められるようになって、結果、力強い打鍵が可能になるからだそうです。

ですが子供となると、やはり大人と比べて筋力も弱いですし、成長過程にある身体にあまり負担をかけるのも良くないわけですから、やはりもっと小さくて軽くて高さも低くした鍵盤が必要になってくるのではないかと思います。ですが、やはりモダン・ピアノでは鍵盤を今以上に低くしたり軽くしたりするのは構造上難しいようです。
ただ、この場合でも“電子ピアノ”でなら実現可能なわけですから、もしかしたら、小さくて低くて軽い鍵盤の電子ピアノが今後“子供用”として考案されるようになるのかもしれません。

もう1つの案として、“昔のピアノ(モダン・ピアノが開発される前のピアノ)を参考にして、子供用のアコースティック・ピアノを造る”という考え方も出来るのではないかと思います。
と言うのも、お子さんに本格的にピアノを習わせたいという親御さんや、ピアノの先生方は、やはり電子ピアノではなく“アコースティック・ピアノ”に拘られるのではないかと思うからです。
最近の電子ピアノは、昔に比べて性能が良くなったかとは思いますが、それでも“倍音”の問題など、まだまだ課題がありますし、何よりも、アコースティックを弾いたときの本物の音の響き(弦がハンマーで叩かれたときの空気の振動)は、やはり電子ピアノでは感じることが出来ないことから、やはり子供用のアコースティック・ピアノもあるべきだと思います。

昔の(モーツァルトが弾いていた)ピアノの鍵盤は浅く、現在の半分くらいの軽さで弾けたとのことなので、このピアノの機構を応用すれば、“小さくて低くて軽い鍵盤の子供用アコースティック・ピアノ”が実現可能になるのではないかと思います。
音量や音の伸びはモダン・ピアノよりも劣ってしまうかもしれませんが、それでも生の音の響きは感じることが出来ます。
実際、子供用の小さなバイオリンでもフルサイズのものほど豊かな共鳴音が物理的に得られないとのことですし、それでも身体のサイズに合った楽器を使うことで効果的な指導が可能になっているわけですから、子供の指導に使うピアノの音量が多少劣っていても、教室で指導する上では問題無いのではないかと思います。
そもそも、小さな子供が大きなホールでオーケストラと共演するなどということは、よほどの“神童”でもない限りまず無いのではないでしょうか。

※ こちらの記事より引用↓
http://www2.plala.or.jp/CHAKA/pianoflame2-1.htm
https://www.violin-p.com/e-commex/cgi-bin/ex_disp_category/id/kidsviolin/

それにしても、バイオリンでは“お子様には適したサイズをお選びいただくことが大切”とされているのに、ピアノでは子供用は必要ないなんて、やはりどう考えても矛盾していますね。

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