主に細幅鍵盤の事を、個人的な戯言を交えながら徒然なるままに書いているブログです。このブログの趣旨をまとめていますので、初めてお越しの方は、宜しければカテゴリ欄の「記事の概要」をご一読ください。
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04/13
Steinbuhler社の記事 第2弾☆Part4
一昨日に引き続き、Steinbuhler社の記事翻訳です。
今回で“Our Research”の翻訳は終了となりますが、Steinbuhler社のサイト内にはまだまだ興味深い記事がありそうな気がします。

さて、今回は『Keyboard Size History』の翻訳文を掲載させて頂きます。



『Keyboard Size History』

酒井直隆氏は、ニューヨークのメトロポリタン美術館のコレクション、ウィーンの初期楽器のホーフブルク王宮コレクション、ウィーン工業博物館、そして、日本の浜松市の浜松市楽器博物館で見つけた75台の歴史上のピアノを測定しました。彼は、演奏者の医学上の問題の調査結果を発表しました[1]
私達には、全幅を88鍵の鍵盤と仮定して計算するための、ピアノ鍵盤サイズの以下の経歴があるので、スタインビューラーによるオクターブ(オクターブの計測を参照)の定義に一致させるために、彼のデータを変換しました。


●1720年のクリストフォリの鍵盤は、今日の通常鍵盤と同じサイズでした。

オクターブ : 6.5インチ or 165mm
全体幅   : 48.25インチ(約122.56cm)


●1784年から1825年の間は、鍵盤の大きさはいくらかより小さな幅でした。

最小 - オクターブ : 6.13インチ or 156mm
      全体幅   : 45.5インチ(約115.57cm)

平均 - オクターブ : 6.3インチ or 160mm
      全体幅   : 46.8インチ(約118.87cm)

最大 - オクターブ : 6.4インチ or 163mm
      全体幅   : 47.5インチ(約120.65cm)


●1826年から1875年の間、鍵盤はより大きくなっていて、今日の通常サイズで終わりました。


●1876年から2000年の間、鍵盤は今日の通常鍵盤と同じでした。

最小 - オクターブ : 6.46インチ or 164mm
      全体幅   : 48インチ(約121.92cm)

平均 - オクターブ : 6.5インチ or 165mm
      全体幅   : 48.25インチ(約122.56cm)

最大 - オクターブ : 6.54インチ or 166mm
      全体幅   : 48.5インチ(約123.19cm)


●注目すべき例外として、1920年代と1930年代に、ヨゼフ・ホフマンは、スタインウェイによって造られた7/8鍵盤で演奏していました。

オクターブ : 5.66インチ or 144mm
全体幅   : 42インチ(約106.68cm)


●スタインビューラー社鍵盤規格

子供 - 3/4-DS規格鍵盤
オクターブ : 5.11インチ or 129.9mm
全体幅   : 37.95インチ(約96.39cm)

小さい - 7/8-DS規格鍵盤
オクターブ : 5.54インチ or 140.7mm
全体幅   : 41.11インチ(約104.42cm)

一般的 - 15/16-DS規格鍵盤
オクターブ : 6インチ or 152.4mm
全体幅   : 44.54インチ(約113.13cm)

大きい - 従来の鍵盤
オクターブ : 6.5インチ or 165.1mm
全体幅   : 48.25インチ(約122.56cm)


モーツァルトベートーベンシューベルトショパンシューマンが、私達の現代の通常サイズより小さい鍵盤で素晴らしい作品の多くを作曲したことに注目すべきです。
なぜピアニストが、今日それらピアノを上演するのに小さな手で苦労するのかを、これで2倍理解出来るようになります。

従来の鍵盤が非常に大きい1つの理由は、19世紀に、ピアノメーカーが競争に勝つための激しい圧力でした。彼らは、より多くの弦と、より大きいハンマーでピアノを組立てることを意味する、より大きい音を持ったピアノを生産するように追い立てられました。
クリストフォリの最初の鍵盤は、今日のピアノのように同じサイズでしたが、彼の鍵盤に対する最初の態度は、より小さなものを造ることでした。その後、メーカーが市場占有率を求めて努力するとともに、19世紀には、モダンピアノの設計は進展し、再び鍵盤の幅を外側に押し広げました。
しかしながら、今日、非常に大きな音を備えたピアノを持ち、更に全ての手に人間工学的に適する鍵盤をそれらに取り付けることが可能です。

注釈
[1] 酒井直隆医学博士
   古い楽器の鍵盤幅、演奏者の医学上の問題、2008年12月



細幅鍵盤の研究に日本人が貢献していると嬉しくなりますね。
ショパンの使っていたピアノの鍵盤幅が、今のピアノの鍵盤幅より細かったという話はよく聞きますが、具体的にどれくらいの幅だったのかは殆ど知られていませんよね。
この測定結果を見る限りでは、ショパンのピアノの鍵盤幅は、C-H(ドからシまで)の長さが156mmから163mm間のどれかだったのかもしれません。
モーツァルト、ベートーベン、シューベルトに至っては、彼らが生きていた時期と、鍵盤の幅が全体的に細かった時代とがほぼ完全に重なっていますね。

文中に登場している酒井直隆氏については、あの「細幅鍵盤のススメ」の中でも紹介されています。
恐らく、あちこちの美術館や博物館で歴史上のピアノの測定をしたときのものと思われる論文が、翻訳文付きで掲載されているので紹介させて頂きます。

「細幅鍵盤のススメ」
研究者 酒井直隆先生による手の大きさと鍵盤幅についての文献


あともう1つ興味深かったのは、ヨゼフ・ホフマンが使っていた特注ピアノの鍵盤幅です。
細幅といってもほんの少しだけだと思っていたので、7/8鍵盤だったと聞いて、恐れ多くも親近感を感じてしまいました

ピアノの鍵盤が大きくなってしまった経緯は、大音量を実現するためのピアノの大型化に伴うものだったようですね。
ですが技術の進歩によって、大きなピアノでも鍵盤幅の小さな鍵盤を設置することが既に可能になっているわけですから、多くの優れた楽曲が生み出されていた時代のように、あらゆる人にとって弾きやすい鍵盤に再び戻すべきときなのではないでしょうか。

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