主に細幅鍵盤の事を、個人的な戯言を交えながら徒然なるままに書いているブログです。このブログの趣旨をまとめていますので、初めてお越しの方は、宜しければカテゴリ欄の「記事の概要」をご一読ください。
02 * 2015/03 * 04
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
03/20
演奏関連筋骨格疾患(PRMD)の怖さ
既にご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、ロックバンド、X JAPANのリーダーのYOSHIKIさんが、今年の2月にTwitterで、「手術をしても治る保証はないみたい。場合によってはその日から使えなくなる。」と、腱鞘炎のために右手が深刻な状態にあることを明かされたそうです。

http://www.oricon.co.jp/news/2048055/full/

その後都内で開催されたイベントに出席した際も、右手の状態について回復は絶望的だと語り、YOSHIKIさんの英文サイトのニュースでも、「YOSHIKIの医師は彼に右手を手術するよう勧めている。しかし、手術をすればワールドツアーが困難になるため、彼を悩ませている。」「腱のほぼ2分の1が破損しており、もしすべて破損すれば、彼は手を動かせなくなる。YOSHIKIはあらゆる手を使って手術を1年、またはそれ以上延期させたい考えだ。彼は実際のところ、“破滅”寸前にある。」と報じられているとか。
ファンの方々はさぞかし心配な思いをされていることだと思います。

YOSHIKIさんは、手首に負担がかかる角度でスタジオのキーボードを長時間弾いて以来、慢性的な腱鞘炎を患っているそうで、8時間を超えるピアノの練習にはドクターストップがかかっているそう。ドアの開け閉めなどにも支障があるほどの状態だそうで、トレーニングも禁じられているとのこと。
思うように練習ができないことはミュージシャンの方にとっては辛いことでしょう。

当初、YOSHIKIさんは手術をしない方向で考えていると報じられていましたが、最近のニュースでは世界ツアー終了後に手術を受ける意向を示したと報じられていますね。

http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2015/03/16/0007826117.shtml

重症になると、演奏だけでなく、日常生活にも支障をきたすほどの障害になってしまうようですね。それを考えると、腱鞘炎を甘く見てはいけないなと改めて思いますね。(甘く見ている方はいらっしゃらないと思いますが
もちろん、私はYOSHIKIさんの手の大きさも、YOSHIKIさんの腱鞘炎の直接の原因も知りません。なので、「YOSHIKIさんも細幅鍵盤を使っていれば」などと言うつもりはありません。
演奏関連筋骨格疾患(PRMD)の深刻さについて、改めて考える切っ掛けになればと思い、このニュースを紹介させて頂きました。


演奏関連筋骨格疾患については以前記事にしたことがありますが、まずはこちらの記事をお読みいただくと分かりやすいかと思います。

痛みを招く手の酷使
楽器演奏で高頻度
音楽家外来で治療を


演奏に際して、どうしても手を酷使することになるピアノには、演奏関連筋骨格疾患は付き物と言えるかもしれません。
同じく、プレーに際して体を酷使するスポーツにも怪我は付き物なのかもしれません。
そしてその性質上、こういった怪我や障害を完全に防ぐことは不可能なのかもしれません。

ですが、“完全に防ぐ”ことは不可能でも、“減らす”ことは可能ではないでしょうか。
そのことについて、アメリカの学術誌、MPPA(Medical Problems of Performing Artists)の社説でも述べられています。

http://littlehands782.blog.fc2.com/blog-entry-65.html


スポーツ用品店などに行くと、サイズはもちろんのこと、重さや素材なども実に様々ですね。
その中からプレーヤーの方は自分に一番しっくりくるものを選ぶわけですし、一流の選手となると、更にぴったりなものを特注したりもします。
言うまでもありませんが、体を酷使する以上、自分の体にぴったり馴染むものを使わないと、持てる力を十分に発揮できないばかりか、体に無理な負担がかかって故障を招いてしまうからですね。
そしてスポーツ用品メーカーも、プレーヤーが出来るだけ安全に、最大限のプレーを満足に出来るようにするために開発を続けているわけです。

スポーツの世界では当たり前に行われている取り組みですが、音楽の世界ではどうでしょう。
“スポーツと音楽は違う”と言われてしまうかもしれませんね。
その通り、スポーツと音楽は“目的”が違います。なので、本来は比べるべきではないのかもしれません。
ですが、“肉体の酷使”という点は共通しているのではないかと思いますし、実際、演奏に関連した怪我や障害がかなりの頻度で発生しているようですね。
このような状況があっても、スポーツのような安全性についての取り組みを、音楽では本当にする必要がないのでしょうか。

世界の一部の国では、この問題への具体的な取り組みが既に始まっています。
どうすることが最善なのか、自ずと答えが出てくるのではないでしょうか。


ピアノ ブログランキングへ
にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
にほんブログ村
スポンサーサイト
03/07
人間の能力の限界 ~道具に求められること~
毎週日曜日にTBSで放送されている「夢の扉+」という番組をご存知の方も多いかと思います。
最近見るようになったのですが、この番組で紹介されている方々には毎回頭が下がります。

先日の放送は『言葉の力SP』という内容で、これまで番組で紹介された中から、3人の方々に焦点が当てられていました。
そのうちの1人、熊本県玉名市にあるナルセ機材の社長、鳴瀬益幸さんが開発された、“アクセルとブレーキの踏み間違い事故”を防ぐ画期的なペダルの『ワンペダル(ナルセペダル)』にとても共感したので紹介させていただきます。
既成概念に切り込んでいるところが細幅鍵盤とも通じるものがありますね〜。



鳴瀬さん(ワンペダル)については、私は先日の放送で初めて知ったのですが、2012年12月9日の放送で紹介された方なので、既にご存知の方もいらっしゃるかと思います。
そのときからかなりの反響があったようで、“ワンペダル”で検索すると、この話題を取り上げている記事が続々と上がってきますね。(この話題はもうお腹いっぱいという方はスミマセン


この『ワンペダル(ナルセペダル)』は、その名の通り、ペダルが1つだけ
踏むとブレーキがかかるペダルの右側面に、アクセルとなるレバーが取り付けられていて、そのレバーを横方向に押すことで加速するという仕組み。

『踏み間違えないためには、踏み間違えようがない構造にすればいい』

という考えに基づいています。

人間が楽な姿勢で立つと足先が自然に外側に開くという特性を踏まえて、その足の開きに沿って設計されているため、アクセルの動作が負担にならないとのこと。

この仕組み、実は、電子オルガン(エレクトーンなど)のエクスプレッションペダルの横に付いている切替スイッチ(フットスイッチ)がヒントになっているのだそうですよ。

http://www.yamaha.co.jp/ongaku/kids/junior/instrument/electone/registration.html


日本での交通事故の数自体は減少しているそうですが、事故原因別に見れば、“アクセルとブレーキのペダル踏み間違いによる交通事故”は増えているそうで、年間に約7,000件も発生していて、2008年には約6,600件発生し、約9,600人の死傷者が出ているそうです。そしてこの“踏み間違いによる事故”は、他の事故に比べて死亡率が高いのだそう。
高齢者や運転が下手なドライバーが起こすものと思いがちですが、あるデータによると、高齢者による事故は全体の4割程度で、約1/4(26%)を10歳代と20歳代が占めているそうです。
つまり、老若男女誰でも起こす可能性があるということ。



鳴瀬さんご自身も、25年前にこの“踏み間違いによる事故”を経験されたそうで、事故の恐ろしさを身をもってお知りになったことがワンペダルを開発する切っ掛けになったのだそうです。

平常心であれば何てことないように思える“アクセルとブレーキの踏み換え”。ところがパニックを起こしてしまうと体が硬直してしまい、足元のペダルを踏み替えるという動作が非常に困難になって、アクセルをそのままブレーキとして踏み込んでしまい、悲惨な事故に繋がってしまうのだそうです。

そもそもこれは、加速(アクセル)と停止(ブレーキ)という真逆の操作をするのに、同じ“踏む”という動作を、隣り合ったペダルで、しかも同じ右足で行わせていることが要因になっているとも言えます。
この“踏む”という作業をブレーキだけにしたことで、“踏み間違い”自体が起こらなくなるというわけです。


人為的過誤や失敗 (ミス) 、言い換えれば、「意図しない結果を生じる人間の行為」を指す“ヒューマンエラー(human error)”という言葉がありますが、“アクセルとブレーキの踏み間違い事故”などは正にこれに入ります。

“人間の注意力には限界があり、どんなに注意深い慎重な人であっても、疲労や錯覚などでヒューマンエラーを起こす場合がある。”

“人間である以上必ず失敗 (エラー) は起こりうる、人間に任せる完璧な対応策はないといった観点に基づいた対策を講じる必要がある。”
「ヒューマンエラー – Wikipedia」より)


間違わないように気を付けることはもちろん大事なことですが、人間誰しも完璧ではありませんね。
間違えた個人を責めるだけではヒューマンエラーを防ぐことはできないので、「人間は間違える」ことを前提とした対策が考案される必要があるわけです。
特に車などは、時として“凶器”になり得るものなので、当然、ヒューマンエラーについては十分考慮されるべきでしょう。

これに対する取り組みとして、自動車メーカーは、進行方向の障害物をセンサーやカメラなどで検知し、アクセルを強く踏み込んで衝突する恐れがあると判断すると、警告音等でドライバーに注意喚起するとともに、エンジンやブレーキを自動制御する、「衝突被害軽減ブレーキ」と呼ばれる機能を搭載させていますが、道路状況や天候によってはシステムの検知範囲が制限されるなど、うまく作動しない場合もあるため、絶対的な防止装置ではないそう。
当然のことですが、安全運転はあくまでもドライバー自身に委ねられています。
「JAF | 車何でも質問箱」より)


鳴瀬さんは大手自動車メーカーにワンペダルの導入を求めたそうですが、

「車のペダルは2つあるのが常識ですよ。」

と、全く相手にされなかったそう。

自動車メーカーが進めている「衝突被害軽減ブレーキ」の開発は、“踏み間違い”が起きることを前提として行われているわけで、ワンペダルがこの開発を否定するもののように思われてしまったのかも。


同じく導入を求めた自動車修理工場からは耳を疑う言葉が。

「事故が減ったら飯が食えなくなる。」

これを聞いた鳴瀬さんは怒りで体が震えたそうです。

“事故を起こせば全て終わりだというのに・・・”


そこで鳴瀬さんは、“正しいと思うなら決してあきらめない”という気持ちを持って、地道にクチコミで広げることにされたそうです。
ワンペダルを使った方々からの評判は上々。
1993年に米国で特許を取得され、'95年には日本、英国、ドイツ、フランス、イタリア、韓国でも特許を取得されたそうですが、認知度不足から販売実績はすぐには伸びなかったようです。

それが最近、高齢者や障害者も運転しやすい車の開発が社会的な課題となり、普及を支援する市民団体ができるなど注目を集めているそう。
ここ2、3年での取り付け依頼が200台程度と、近年は依頼が増えていて、今では累計約300台にまで装着実績を伸ばしているそうです。

ドライバーの高齢化が問題になっていたタクシー会社が検証のために導入したという事例や、引きこもりがちだったという片足の不自由な方が、電気自動車にワンペダルを装着したことによって運転が楽しくなり、元気に外出するようになられたという事例も。

2013年11月にマツダの試乗会で自動ブレーキ機能搭載車の事故が発生した後には、一般消費者からの問い合わせが増え、同時に、ワンペダルを相手にしなかった大手自動車メーカーや自動車部品メーカー関係者からの打ち合わせや試乗の打診も相次いでいるのだとか。

国内メーカーだけでなく、2014年1月中旬にはヨーロッパの安全装置メーカーの幹部がナルセ機材を訪れて、ナルセペダル搭載車を試乗されたそうです。
「ロンドンのバスなど、公共交通機関から導入するのが普及の近道かもしれない」との感想で、満足気な様子だったとも。

今後の展開が楽しみですね


装着については、車によって加工と調整が必要だそうで、装着後のテストを含めて1週間近くは車を預けることになるそうです。車にもよるそうですが、部品と装着を含めてだいたい13万円程度で、自治体によっては装着費用の半額を公費負担しているそうです。

ワンペダルは実際に装着して走ってみないと良さが実感できないとのこと。
ナルセ機材の敷地内にはワンペダルの操作を練習できるコースがあるそうで、慣れないうちは混乱してペダルを踏んでしまうことがあるそうですが、踏めばブレーキなのでヒヤリとすることは全く無く、1周1分ほどのコースを2、3周すれば、ワンペダルの操作に慣れるそうです。
乗り慣れれば操作に全く問題はないようで、ワンペダルを使用されているタクシードライバーの方も、「操作が楽」という感想だそうです


九州産業大学松永勝也教授(認知科学)による、一般市民7人を対象に行った実験では、平均で通常のペダルより1.6m手前で停車したという結果が出ているそうです。
教授曰く、「事前に内容を知っている実験でこの数値。実際の走行ならもっと早く止まれるはず」
空走距離が短くなれば、踏み間違いだけでなく、事故全般の防止にも効果が期待できますね。

九州産業大学の研究者の協力の下、事故防止の有効性を実証する実験も行われ、アメリカでの論文発表の準備も進んでいるそうですし、ニューヨークタイムズでも紹介されたそうですよ。

http://www.nytimes.com/2010/08/04/business/global/04pedal.html?_r=2&ref=toyota_motor_corporation&


“正しいことはいつか認められる”

そう信じて今に辿り着いたそうです。
是非見習いたいものですね。

こちらの記事でもワンペダル(ナルセペダル)について詳しく取り上げられていますので、ご興味を持たれた方はご覧ください。
記者の方もナルセペダル搭載の車を試乗されたようで、その感想なども書かれていてなかなか面白かったですよ。

なぜ「アクセルと踏み間違えないブレーキ」が普及しないのか
高齢化社会を救う「世紀の発明」体験記

(↑ここではスマホ版の記事をリンクしています。パソコン版は全文を読むのに無料会員登録が必要ですが、スマホ版は会員登録無しで全文読めます。)

こちらがワンペダル(ナルセペダル)の公式サイトです。
こちらから問い合わせができます。

NARUSE PEDAL


ピアノ ブログランキングへ
にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
にほんブログ村
Copyright © 2017 細幅鍵盤随想記|ピアノと鍵盤と、時々、戯言.
all rights reserved.