主に細幅鍵盤の事を、個人的な戯言を交えながら徒然なるままに書いているブログです。このブログの趣旨をまとめていますので、初めてお越しの方は、宜しければカテゴリ欄の「記事の概要」をご一読ください。
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02/26
PASK記事翻訳 - Part8 * 細幅鍵盤を利用する機会の不足・規制・技術面/財政面
前回で、『PIANISTS FOR ACCESS TO SMALLER KEYBOARDS』の、"NEED FOR NARROWER KEYS"を読み終わって、今回から次の項目に入っていきたいと思います。

次の項目、"BARRIERS TO CHANGE"の、'Lack of access to reduced size piano keyboards'、'Regulations''Technological/financial'の翻訳を掲載させて頂きます。




Yes, you can adapt quickly to a smaller size!
はい、あなたはより小さいサイズにすぐに順応できます!

BARRIERS TO CHANGE
変化に対する障壁

過去10年の間、縮小されたサイズの鍵盤は非常に限られた方法で利用できるようになりました。同時に、様々な学者、研究者、およびこれらの小さな鍵盤のメーカーは認識を高め、現在のサイズの鍵盤がすべての人に理想的というわけではなく、しかも狭いキーを備えた鍵盤は、多分人口の大多数に適合するだろうという可能性について議論し始めました。
しかしながら、彼らは『1つのサイズがすべての人に合っている』という考え方から、変更を考慮することへの相当な抵抗に遭遇します。

これらの障壁は、ほとんど文化的な問題の嘆かわしい強化混合物です。

"Lack of access to reduced size piano keyboards"
『縮小されたサイズのピアノ鍵盤を利用する機会の不足』

より小さい鍵盤に変わりたくなっているピアニストの意欲をくじく主な要因は、それらが利用可能ではないということです。実際の問題として、どこでもすべてのピアノ鍵盤が標準サイズです。
主要なピアノ・メーカーは、恐らく非常に稀な『特別』注文を除いては、狭い鍵盤を備えたピアノを生産しません。一握りの小規模の製造業者はそうすることができ、そうしていますが、十分に供給できる状態ではありません。小規模生産、物流および費用が世界的な利用権利を妨げています。

自宅用の縮小されたサイズの鍵盤を持っているピアニストの非常に苦しい状況は、複雑さを示しています。彼らが狭い鍵盤で、難易度の高いレパートリーを身につけた、非常に高い水準に達する可能性があるものの、彼ら自身の鍵盤から別の所にある唯一の選択肢は、彼らが多くの部分を演奏するのにもがき苦しむ上に、彼らのレパートリーのいくつかを完全に省略しなければならないことを意味する標準鍵盤のピアノです。
彼らの家の外で演奏するために、彼らは練習用の標準鍵盤を簡単に利用できることを必要とするでしょう。選択肢には、交換可能な鍵盤を備えたグランドピアノか、良質の電子ピアノでの標準鍵盤の入手があります(参照: Vision for the Future - 将来への展望)。縮小されたサイズの鍵盤がより広く受け入れられ、社会全体で利用できるようになるにつれて、この問題はほぼ解消されるでしょう。


"Regulations"
『規制』

多くの国または管轄の試験方針は、子どもによるものですら、より小さな鍵盤の使用を許可していません。これは、教師、親、学校、および大学が、利用可能なあらゆる代替鍵盤に投資するのを思いとどまらせています。
そのような方針は、浸透している考え方と誤解に基づいていることが多いのです。

ベートーベンはより小さな鍵盤で作曲しました。にもかかわらず、これらの規制は、それが作曲されたまさにそのピアノで、学生がベートーベン・ソナタを演奏することが許されていないことを意味しています!

試験委員は、学生が、標準鍵盤で痛みと怪我の原因になる恐れがあるテクニックとレパートリーを教え込まれるかもしれないという事実について、ある程度責任を負う必要があります。試験での縮小されたサイズの鍵盤の受け入れは、教師が徐々にそれらを使い始め、親が徐々に彼らの手本に従うことを後押しします(参照: Vision for the Future - 将来への展望)。
これは、若いピアニストの間の中退率の減少につながるに違いありません。教師の励ましにもかかわらず満足のいくように進歩することができないことで、欲求不満と自尊心の喪失に苦しむ若者が多すぎます。教師は、彼らの手が小さすぎて、そもそも適度な水準以上に届く余地が無いということを知っているべきです。


"Technological/financial"
『技術面、あるいは財政面』

ピアニストが不満を言うか、あるいは変更を要求するのを彼らがほとんど理解しないことを考えると、主要なピアノ・メーカーは、130年続いたピアノの鍵盤のサイズの伝統を疑うことに無関心のように思えます。これがより小さな鍵盤の潜在的巨大市場であるにもかかわらずです。
この無関心は、主にここに記載された他の障壁のためであるかもしれません。メーカーは、異なるサイズの鍵盤の大量生産、縮小されたサイズの鍵盤の稀な注文に対する態勢が整っていないので、一般に認められたと仮定すると、『特別なもの』と見なされ、そのために価格の高騰を招き、発送を長く待たされる可能性があります。




音楽家の手の専門医である酒井直隆医学博士が、世界中の博物館や美術館を回って昔のピアノの鍵盤幅を測定され、「細幅鍵盤のススメ」というブログの中でその酒井博士の論文が紹介されています。

研究者 酒井直隆先生による手の大きさと鍵盤幅についての文献
http://smallkeyboard.blog35.fc2.com/blog-entry-130.html

この論文によると、18世紀後半から19世紀前半に平均的に3~6mm(※)細かったとのことです。
この数値から計算すると、18世紀後半から19世紀前半まではオクターブが平均で160mm~161.5mmくらいで、これが平均であることを考えると、恐らくもっと幅のバリエーションがあったと思います。
実際、ショパンが使っていた鍵盤は、現在のものよりオクターブ毎に1cmくらい細かったそうです。

酒井直隆医師は、ドの左端から次のドの右端で測定されています。
http://www.steinbuhler.com/html/measuring_an_octave.htmlを参照 。

モーツァルトが1756年~1791年、ベートーベンが1770年~1827年、シューベルトが1797年~1828年、ショパンが1810年(若しくは1809年)~1849年、シューマンが1810年~1856年であることから、これらの名立たるクラシックの巨匠たちは、自分の手の大きさに合った(現在のピアノの鍵盤より幅が細い)鍵盤を使って演奏や作曲をしていたことが分かります。
少なくとも、大きすぎる鍵盤でどうにかしていたわけではないようです。

作曲家が自分の手の大きさに合った鍵盤を使って作曲したものを、全く手の大きさに合っていない(大きすぎる)鍵盤で弾くことを余儀なくされている現在の状況・・・どのように思われるでしょうか。

この事実を踏まえた上で、細幅鍵盤(鍵盤幅を自分の手の大きさに合わせること)を“邪道”もしくは“甘ったれ”と考える方々に、今一度お聞きしてみたいです。
このクラシックの巨匠たちは、自分の手の大きさに合った鍵盤を使うという“邪道”な手段に逃げた“甘ったれ”だったのでしょうか?

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02/17
PASK記事翻訳 - Part7 * 細幅鍵盤を試したピアニストからの反響・主なピアノ・コンクールと演奏経歴での成功における性差
PASKのサイト『PIANISTS FOR ACCESS TO SMALLER KEYBOARDS』の、"NEED FOR NARROWER KEYS"の6つの項目の中の、「5. 現在利用可能な縮小サイズ鍵盤を試したピアニストからの増加している例証」「6. 国際的なピアノ・コンクールの結果および成功している国際的な演奏の経歴を維持したピアニスト間の両方における性差の分析」の翻訳がやっと仕上がりましたので掲載させて頂きます。




"5. Feedback from pianists who have tried ergonomically scaled piano keyboards (ESPKs)"
『5. 人間工学的に縮小されたピアノピアノ鍵盤(ESPK)を試したピアニストからの反響』

小さい手のピアニスト、特に親指から5番目の指までの最大の手のスパンが8.5インチ(21.59cm)未満の人々は、より狭い鍵盤で演奏することが、どれほど簡単であるかを圧倒的に報告します。

これらのピアニストはさらに、学習時間が減少し、習得できるレパートリーが著しく増加すると報告します。

重要なことには、彼らには技術的な障害を克服することよりも、むしろ音楽自体に集中するはるかに大きな能力があると、これらのピアニストは報告します。
ほとんど例外なく、彼らは、非常に速く、2、3時間、最大でも2、3日以内に、より小さな鍵盤に順応します。一旦順応すれば、彼らが標準の鍵盤で演奏できる作品については、ピアニストは必要に応じて、従来とより小さい鍵盤の間を行ったり来たり交代することができます。
これは、国々を変更する場合に、道の「間違った」側で運転することを学ぶことにやや似ていて、ドライバーが最初の適応過程を経験してきていれば、彼らはこの先何年もどちらの側ででも簡単に運転する能力を持ち続けます。

『あなたは、あなたがまさに失っていたもの、そして、あなたの人生の全てに直面していた不必要な障害の発見の旅に出るために、あなた自身に少なくとも2、3日を与える必要があります。いずれの2つの指の間の距離を単に「引き伸ばす」ことよりもずっと重大であることが、私の言った通りであれば、私を信用してください。』・・・・クリストファー・ドニソン、2006年12月。

グランドピアノでスタインビューラーの鍵盤を交換することがどれくらい簡単か、初めてDS™7/8鍵盤を試すピアニスト、および2007年のMTNA会議で講演リサイタルを行うキャロル・レオーネ博士について示しているマリオ・エジェロ(marioajero.blogspot.com)によって撮影されたこれらのビデオを見てください。

Reduced-size keyboards Part 1: http://www.youtube.com/watch?v=SBfDN9DBsnk
Reduced-size keyboards Part 2: http://www.youtube.com/watch?v=yiF05uBej0c

関連項目: www.smallpianokeyboards.org/what-pianists-say.html


"6. Gender differences in success at major piano competitions and with performing careers"
『6. 主なピアノ・コンクール、および演奏経歴での成功における性差』

成人男性は、ピアノ奏者全体の比較的小さな集団を構成し、通常、第三機関の中、およびピアノ教師の間では女性よりも少ないものの、彼らは主な国際ピアノ・コンクールでの受賞者のリストおよびプロのピアニストの集団で多数を占めています。

バイオリン・コンクールの結果を一目見た場合、性差の同じパターンは発見できません。バイオリンは、設計における異なるサイズとバリエーションが、手のスパンに関しての不利な立場の結果をあまり生じさせない証拠として利用できる楽器です。子供には、通常、より小さい型のバイオリンを演奏し始める恩恵があります。

この100年にわたる主な演奏およびレコーディング・アーティストは、圧倒的に男性でした。最も有名な女性アーティストの多くは、主にバロック音楽、および初期の古典的なレパートリーに重点的に取り組みました。

関連項目: www.smallpianokeyboards.org/piano-competitions.html


"Conclusion - Size does matter"
『結論 - サイズは重要です』

他のすべてが同じならば、より小さな手のピアニストは、2つの主な面で現在の鍵盤で不利な立場に置かれています。
第一に、彼らは、痛みと怪我に苦しむ傾向が強いです。第二に、彼らにとって、かなりの割合のピアノ・レパートリーが除外され、彼らが演奏するのが物理的に不可能な部分が多い難しいレパートリーを学ぶのに、より大きな苦労をします。
これら2つの要因は、彼らが一流の能力基準に達するのがこのようにして妨げられることを意味しています。

研究および他の証拠は、8.5インチ(21.59 cm)あるいはそれ以下の手のスパンを持つピアニストが、より小さな鍵盤から大いに恩恵を得ることを示しています。この測定基準を使うと、成人男性の20%、それに成人女性の80%が恩恵を受けます!

狭いキーを備えた鍵盤は、差別の除去を促します。
7/8鍵盤(各鍵盤が『標準的な』ピアノ鍵盤の幅の7/8である場合)は、男性が女性以上に持っている1インチ(2.54cm)の有利性を主に取り除きます。

どちらの性の子供も、大人より更に手が小さいですが、現在、(成人)男性のために設計されたピアノで学ばざるを得なくなっています。

根本的には、ピアニストと彼らの聴衆によって経験されるように、最も重要なことは音楽自体です。聴取者は素晴らしい音楽的経験へ誘われることを望み、ピアニストは、技術的な問題について考えているより、むしろ音楽に『没頭』できることを望んでいます。

『ピアノで音をコントロールする能力、そしてこれは、広範囲の強弱法を備えたフレーズを見事に形作るのはもちろん、美しい音色も作り出すことを意味し、私たちが楽に演奏出来ることに大きく左右される。』(マックス・クック、1985年)

かつて1929年にオットー・オルトマンによって認識されたように、鍵盤にかなり適合度が高いピアニストの手を含めた人間工学的な要因は、技術的な容易さに影響する重大な要因です。
ピアニストが縮小されたサイズの鍵盤によってさらに大きな高みに達することができ、聴衆が彼らと共に誘われるのだとすると、では、狭い鍵盤を備えた世界のピアノを、なぜ否定するのですか?


マックス・クック(1985年)。高度なピアニストの音色、タッチおよびテクニック。オーストラリア、メルボルンのアラン。

オットー・オルトマン(1929年)。ピアノ・テクニックの生理的力学。ロンドンのキーガン・ポール、トレンチ、トリューブナー社、そしてニューヨークのE.P.ダットン社。




もし違う幅の鍵盤に慣れてしまったら、今までの鍵盤では弾けなくなるのではないかと思ってらっしゃる方も多いのではないかと思います。
かく言う私もそうなるような気がしている方ですが、この事に関しては中田喜直さんも、ご自身の著書『音楽と人生』随筆集の第4章「日本人と、ピアノ」の中で、幅の狭い鍵盤に慣れても、細幅鍵盤と標準鍵盤の両方が弾けるというようなことを仰っていますし、ポーランド出身のピアニスト、ヨゼフ・ホフマン氏も、自分用の細幅鍵盤ピアノが持ち込める時はそれで弾き、出来ない時は普通のピアノを弾いたということから、違う幅の鍵盤が幾つかあっても、ちゃんとそれぞれに適応する能力が人間には備わっているようです。

ちなみに、PASKの主要メンバーの1人であるキャロル・レオーネ博士は、スタインビューラーの動画内で標準鍵盤と7/8鍵盤を弾かれていて、昨年のAPPCA会議(オーストラレーシア・ピアノ教育学会議)で15/16鍵盤を弾かれていることから、3つのサイズ全て弾けるようです。

とは言え、当然のことですが、指が伸びるわけではないので、これはあくまでも自分の手の大きさで弾ける曲であれば・・・という話で、元々標準鍵盤で指が届かない部分までが弾けるようになるわけではないようです。

細幅鍵盤への移行に関しては、うまくいくのか心配されている方が多いかとは思いますが、思ったほどは時間がかからないようです。
ロンダ・ボイルさんが仰るには、15/16鍵盤への移行の場合は殆どの人がすぐに順応するそうですが、7/8鍵盤の場合は、やはり変化の幅が大きい分、多少の時間がかかるとのことです。
その過程で意欲がそがれてしまう方も実際いらっしゃるようなのですが、それでもそこからもう少し練習を続ければ、大抵の人が数時間か、最長でも2、3日くらいで弾けるようになるそうです。

私含め、相当に手が小さい人(おそらくオクターブぎりぎりか、届かないくらいの人)などは7/8鍵盤が適しているわけですが、そういう方の中にも最初は15/16鍵盤の方が弾きやすいように感じる方もいらっしゃるようです。
それはやはり手をめいっぱい広げて弾く癖がついてしまっているからなのだと思いますが、そういう方も7/8鍵盤での練習を続ければ、最終的にはこっちの方が自分に合っていることに気付かれるそうです。

やはり手が小さければ小さいほど標準鍵盤での無理のある弾き方の癖がついてしまっているので、その癖の修正も含め、7/8鍵盤への移行には、ある程度の大きさの手(最大限広げて1-5間が約21.5 cm以上)の人が15/16鍵盤へ以降するよりも、若干の時間がかかる傾向があるようです。
この件に関して中田喜直さんも、“(細幅への移行の時)手を最大限広げて指を固定し、それが丁度オクターブという手の小さい人が、九度の方に時々間違えることがあった。間違った弾き方の人が間違えるのだが、(オクターブ毎に)五ミリ位より、一センチ狭い方が、より大きく、はっきりとその効果があらわれる。”と仰っています。

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02/07
著名なピアニストにも細幅鍵盤を使っている人が居ます!
PASKを通じて、細幅鍵盤を推奨するピアニストの方々の言葉と、その他の細幅鍵盤に関する情報が届いているので紹介させて頂きます。




オーストラリアのピアニスト・教師・作曲家のイアン・マンロー氏の細幅鍵盤への言及:

“The principle is one that seems so obvious and positive that I have never understood why it wasn't adopted generations ago. The fact is, most people cannot play all the repertoire they would like to. It's almost funny how many small-handed pianists come to me wanting to play Rachmaninov. More often, though, it's music of unremarkable technical demands that requires only a natural fall of the hand over a range of notes that is just that fraction too wide for comfort, leading to all the stress, insecurities and bad practices that are the bane of so many gifted colleagues' daily experience. I'd be thrilled if this situation were to change, even in a very gradual and limited way, and am pleased that Kawai are waking up to this.”

「なぜそれが一世代前に受け入れられなかったのかが全く理解できないほど、原理は一目瞭然で疑いようが無いように思える物です。実は、ほとんどの人々が、自分達が演奏したいレパートリーを全て弾けるわけではありません。ラフマニノフを弾きたくて、私のところに小さな手のピアニストがどれほどやって来るかは、思わず笑ってしまうくらいです。非常に頻繁ではありますが、ただあまりにも広すぎて痛みが和らがないほんの一部の音符の範囲にわたって手の自然な衰退だけを要求する、平凡な技術的要求の音楽であり、すべてのストレスに結びつき、非常に多くの才能のある同業者の日常体験の悩みの種であり、不安定で悪い慣習です。この状況が変わるなら幸いで、非常に段階的で限られた方法であっても、カワイがこれまで目覚めているのを嬉しく思います。」



2008年のニューヨーク・タイムズ掲載の、アルゼンチン出身のユダヤ人ピアニスト・指揮者のダニエル・バレンボイム氏とのインタビューでの細幅鍵盤への言及:

A Whirlwind Named Barenboim
(記事の12段落目)

「それら2つは、音楽家が、音楽的に洗練されているだけでなく、教養があり博識な人物でなければならないことを、今もなお私に示しています。」ある晩遅く、自宅で大きなキューバの葉巻を吹かしてバレンボイム氏が言った。彼は、ツェーレンドルフ近くの緑の多いベルリンの自分の居間で、安楽椅子に身を落ちつけ、1組の巨大なスタインウェイの前に座った。1つは、彼が最近リサイタルで使用するのが好きな狭い鍵盤が取り付けられている。彼の後ろの本棚は、フランス語、スペイン語、ドイツ語、英語、そしてヘブライ語の本で一杯だった。




PASKを通じてこういう情報を受け取る度に、細幅鍵盤に関する情報が日本には全く入ってきていないとつくづく感じますこういう方々をもっと日本のマスコミも取り上げてほしいものです。
バレンボイム氏が細幅鍵盤を使ったリサイタルを日本でもしてくれるといいんですけどね~

それと、前々回の記事で、アメリカで細幅鍵盤ピアノを導入する大学がもう1校増えそうだと書きましたが、この度、オハイオ州のクリーブランドにあるケース・ウェスタン・リザーブ大学が研究用にスタインビューラーの7/8鍵盤を導入したという知らせが今月の4日に入りました。
これで、アメリカで細幅鍵盤を入れている大学が9校に増えました。

オーストラリアの大学でも細幅鍵盤を導入してもらおうと、現在ロンダ・ボイルさんとエリカ・ブッカーさんが働きかけていて、有力候補が1校あるそうです。
ロンダさんは最近のAPPCA会議(オーストラレーシア・ピアノ教育学会議)に3回参加され、細幅鍵盤の必要性を提示されたとのことですが、昨年にはキャロル・レオーネ博士も会議で15/16鍵盤での講演リサイタルをされ、その甲斐あってオーストラリアのピアノ界では、細幅鍵盤への関心が徐々に高まっているそうです。

更に、オランダ、フランス、アイルランドからも自国で細幅鍵盤を普及させたいという声が上がっていることを受けて、今年の7月上旬にセルビアで開催されるEPTA(European Piano Teachers Association - ヨーロッパ・ピアノ教師協会)会議に、エリカさんが参加され、プレゼンをされる予定になっているそうです。

あと、前々回の記事でもアメリカの中古の細幅鍵盤ピアノの情報を書きましたが、オランダでも1台売り出されているそうです。
1980年代にニューヨークのピアノ修復家によって造られた、7/8鍵盤のスタインウェイM-170で、お値段は1,400ユーロ、日本円で約194,108円(2/7/2014 11:20pm時点)とのことです。ていうか、安っ!!スタインウェイでも中古ってこんなもん!?状態がちょっと気になりますね
Piano keyboard special 7/8 scale made for Steinway Model M
※追記: もしかして・・・と思って確認してみましたところ、これはスタインウェイM-170用の鍵盤(アクション)部分だけだそうですやっぱりね~

それと、細幅鍵盤電子ピアノ(若しくはキーボード)に関しての情報ですが、現在、アメリカの男性が15/16鍵盤のものを(おそらく中国メーカーに)製造してもらおうと取り組んでいるそうです。


今後も、情報が入り次第お知らせ致します

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02/04
PASK記事翻訳 - Part6 * 手のサイズと痛みと怪我を関連づける研究・人間工学と生体力学の基本原理
今回から、またPASKのサイト『PIANISTS FOR ACCESS TO SMALLER KEYBOARDS』の、"NEED FOR NARROWER KEYS"の6つの項目の中の、「3. ピアニストの間での、手のサイズと痛みと怪我を関連づける査読された研究」「4. ピアノの演奏に適用される、人間工学と生体力学の分野の認められた科学的原理」の翻訳を掲載させて頂きます。




"3. Research linking hand span to pain and injury"
『3. 手のスパンと痛みと怪我を関連づける研究』

従来の鍵盤を使用するピアニストについてのピア・レビュー(査読)された疫学・臨床研究は、小さな手のスパンおよび痛みと怪我の関連を実証しました。

この関連は、異なるサイズの鍵盤を使っているピアニストに関して、演奏と健康結果を比較する米国の最近の研究で支持されています。狭い鍵盤へ移っているピアニストは、実質的に『より大きな手』を得ています。

女性ピアニストは、はるかに高い(痛みと怪我では男性より約50%高い)危険を冒しています。

子どもとティーンエイジャー(13歳から19歳までの若者)も、ピアノの演奏に関連する痛みと怪我に苦しんでいると分かりました。ピアノ教師には、この点(手のサイズと教えられたレパートリーの間の不適当な組合せが要因になり得る)に関して注意義務があります。

関連項目: www.smallpianokeyboards.org/pain-and-injury.html


"4. Basic principles of ergonomics and biomechanics"
『4. 人間工学と生体力学の基本原理』

小さい手のピアニストは、より大きな手の演奏者よりも、手首の[筋肉の]外転(体の中心線から外に向かう運動)、伸展(手足の関節を曲げた状態から伸ばすこと、または伸ばした状態)および逸脱による怪我のより高い危険性があります。

大きな和音、オクターブ、およびアルペジオは、『解剖学的に中立的な』弛緩位(緩んだ位置)の範囲外を小さな手に繰り返し強要します。更に、小さな手は、鍵盤へ当てるときの手の動作の増加の必要性が原因で、生体力学的に不利な立場にあります。これらの要因は、痛みと怪我のより大きな危険性に加えて、力、速度、正確さおよび音調のコントロールの損失を意味します。

それらの境界近くよりむしろ、それらの範囲の中央近くで動いている筋肉と関節が、動的応答のより大きな範囲を持ちます。これは、大きな手の人はより最適な範囲内で動いている可能性が高く、その一方で、小さな手の人は極端に動いている可能性が高いので、あまり効率的ではないということです。

さらに伸ばさなければならないことは、小さな手の人に筋肉の緊張の増加を強います。これは力とコントロールの進行性喪失だけでなく、演奏し続けるための精神的努力の増加をもたらします。音楽的才能に集中する能力は、このようにして損なわれます。

『手の幅、指の長さ、および指の[筋肉の]外転の3つの要素は、調整または学生の身分であることの欠点にしばしば誤って帰属された、驚くほど多くの技術的困難について説明するだろう。』(オットー・オルトマン、1929年)

『極端な範囲の指による、すばらしく力強い漸次的変化は、生理的に不可能である。』(オットー・オルトマン、1929年)

関連項目:www.smallpianokeyboards.org/pain-and-injury.html#evidence




今回は(私にとっては)難しい表現が多かったので、なかなか苦戦しました
それにしても、85年も前から既に手の大きさとピアノの鍵盤幅の問題が指摘されていたんですね。
オットー・オルトマンの論説は、物理学・生理学・解剖学の観点から客観的にピアノ奏法を分析している科学的で画期的なものではあるのですが、その一方で、オルトマン自身がピアニストではないため演奏者の意識や感覚とは異なっている点があり、ピアニストが直接的に参考にすることは難しいしとの見解を持つ人もいるようです。

やはりここは「餅は餅屋」、ピアノの事はピアニストに聞くのが一番ということで、前回の記事でも触れた、細幅鍵盤関連のもう1つのサイト『Piano Keyboard Size: A Level Playing Field?』の中の"What pianists say"には、実際に細幅鍵盤を使ってみたピアニストの方々の感想が書かれているようです。
PASKのサイトの翻訳が終わり次第、こちらのサイトも読んでいこうと思っています。

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