主に細幅鍵盤の事を、個人的な戯言を交えながら徒然なるままに書いているブログです。このブログの趣旨をまとめていますので、初めてお越しの方は、宜しければカテゴリ欄の「記事の概要」をご一読ください。
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国際コンクールでの男女・人種別の受賞者数の違い - ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS(和訳)
2016年の終わり頃に、細幅鍵盤関連の英語サイト、ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS内が大幅に編成し直されました。
それに伴い、このブログでもこの英語サイトの和訳記事の内容を編成し直しています。
そのため項目があちこち移動していますが、内容自体は以前とあまり変わりませんので、何卒ご了承ください。

このページでは、『Piano competition results』という項目の和訳記事を掲載しています。

※ この翻訳文の元となる英語サイトの更新に伴い、翻訳文も2017年6月23日に更新しました。


※ 下の各図が見づらい場合は、図をクリックしていただくと大きな図が表示されます。


Piano competition results and famous recording artists - gender differences
ピアノコンクールの結果と有名なレコーディング・アーティストの男女差

Piano competition results
ピアノコンクールの結果

Recording artists of the 20th century
20世紀のレコーディング・アーティスト


 
Piano competition results
ピアノコンクールの結果

小さい手のピアニストは自分の手のサイズに合った曲目を選択できるとは言うものの、通常、(アンサンブルで演奏する人達を含む)成功を収めたコンサートピアニストは広範な曲目を演奏するのが当然のこととして期待されます。

上記では、高いレベルで演奏したいと思っているピアニストが広範にわたる曲目によって卓越の域に達するためには、10度届く手のスパンを必要とするだろうと言うこともできます。(What pianists say/Repertoireピアニストたちの言うこと/レパートリー))と、びE・ブッカー(Booker)氏とR・ボイル(Boyle)氏によって書かれた2011年7月のオーストラレーシア・ピアノ教育学会議の論文をご参照ください。)
DS5.5®(7/8)鍵盤がもたらす影響とは、手のスパンという点で『平均的な』女性が『平均的な』男性の領域に組み込まれるということであり、例を挙げれば、ロシア人作曲家の作品を遥かに高い割合の女性が演奏するチャンスを開放するということです。

一流レベルのピアノの演奏では、多くのスポーツの場合と全く同じように非常に微妙なことが成功者と他の人達を区別します。
ピアニストが克服しなければならない技術面での障壁が多ければ多いほど、同じ力量にもかかわらずそれらの障壁が無い他の人たちと比べて不利な点がより大きくなり、その中で手のサイズは明らかにそれです。例えばスツールの高さなど、演奏にマイナスの影響を及ぼし得る他の物理的な要因は長い間ピアニストによって認知されており、選択肢を提供することで対処されています。

ピアノの演奏は、(多くのウインタースポーツのような)芸術や技術的熟練の調和を必要とするそれらのスポーツと比較することができます。装備や衣類の質、そしてパフォーマーの具体的なニーズに対するその人の適合性が、試合の最も高いレベルで違いを生じさせることがあります。もしそのスキーが特定の種目に対して短すぎたり長すぎたりすれば、国際競技のスキーヤーは誰でも不利な立場に置かれるでしょう。
一流のピアニストに関しては演奏経歴をめぐる競争は熾烈であり、高いレベルの技術的熟練や音楽的才能は当然のことと見なされます。手のサイズに最も合った楽器を演奏することができるピアニストがより良く、より大きな安全のもとで演奏する見込みがあります。

クリストファー・ドニソン(Christopher Donison)氏(1998年)は、大学において、一般的に男子学生より女子学生の数が極めて多いことを考えると、上位レベルでの女性のピアノコンクールの入賞者の割合が比較的少ないことについて意見を述べています。
過去半世紀にわたっていくつかの国際的なピアノコンクールでの入賞者を見直すと、これらのコンクールうちの2つを除いたすべての入賞者の間で、女性よりも男性の数が実際に多くなっています。これらのコンクールのほとんどで、コンクールの年全てにわたって女性の入賞者の割合が16%から25%までの範囲となっています。
ショパン国際ピアノコンクールにおいては女性がそれ以上の成功を収めており、入賞者の39%を構成しています。しかしながら、これらのコンクールそれぞれの優勝者で見ると、ほとんどの場合で女性の割合はさらに少なくなっています。
一方、バッハ国際コンクールと(17歳以上の年齢区分の)モーツァルト国際コンクールでは、入賞者の間では女性の数が男性よりも多く、バッハやモーツァルトを演奏する際には男女がはるかに公平な条件にある可能性を示唆しています。
表1をご参照ください。

すべての女性の優勝者の人種的背景を考慮すると、アジア系はほとんどおらずおよそ1/3がロシア出身でした。
国際的なバイオリンコンクールの結果の精査では異なる様相を見せており、男女の入賞者の数は同程度であり、アジア人女性が強く示されています

4年おきに開催されるチャイコフスキー国際コンクールは、ピアノのみならずバイオリンも特徴としています。
1980年代以降のこれら6回では、ピアノ部門ではこれまでにたった1人の女性が上位の賞(1位、あるいは1位を受賞しなかった場合は2位)を受賞したことがあるだけですが、バイオリン部門では7人の女性が受賞しています。

これらの結果は、ピアニストが広範な曲にわたって一流レベルで競い、よって演奏の実績を開始するには、比較的大きな手のスパンが必要であることを裏付けています。

バイオリンコンクールの結果では同程度の性別格差は見つかっていません。
スイス、ローザンヌにある名門、小沢征爾アカデミーの学生の構成に留意してください。アカデミーは世界中の一流の若手弦楽器奏者の中から選定し、弦楽四重奏で最高レベルの演奏をするよう彼らに準備させます。学生たちの間には非常に均一な男女間の分配が見られます。
http://www.ozawa-academy.ch/index.php/en/academy/

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MTNA(全米音楽教師協会)によって行われる全米音楽コンクールが毎年開催されており、ジュニア(11~14歳)、シニア(15~18歳)、および若手アーティスト(19~26歳)を含む4つの年齢区分があります。
1963年以降の結果(表2を参照)を調べたところ、ジュニア部門の優勝者の中では女性は男性より多く、シニア部門ではわずかに、そして『若手アーティスト部門』ではさらにいっそう、男性が圧倒的に(2倍以上)女性より多くなっています。
ですがMTNAの弦楽器コンクールの結果を見ると、女性の入賞者の年齢に伴った同じような減少は見られず、『ジュニア』部門ではほんのわずかではありますが、どの年齢層でも女性が男性の数を上回っています。

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英国EPTA全英ピアノコンクールの結果は、ジュニアから一流レベルへと上がるにつれて、どのように男性がピアノコンクールの受賞者リストで次第に優位に立つようになっていくかというもう1つの例を示しています。

2009年以降の中級・上級レベルの範囲内:
優勝者 – 男児25人、女児9人

 
Recording artists of the 20th century
20世紀のレコーディング・アーティスト

フィリップスレコード社は、20世紀最高のピアニストと見なされているものを盛り込んだCD一式を発売しています。
メインのピアニストが73人いて、そのうちの11人が女性です。これらのうちの2人(Bruk(ブルーク)とLhevinne(レヴィーン))は、2台のピアノの協力関係の一員であり、残りの9人の大部分は、バロック音楽や古典派の曲目で最もよく知られています。
メインの女性ピアニストは以下の通りです。

マルタ・アルゲリッチ
リュボーフ・ブルーク
イングリッド・ヘブラー
クララ・ハスキル
マイラ・ヘス
アリシア・デ・ラローチャ
ロジーナ・レヴィーン
マリア・ジョアン・ピレシュ
ロザリン・テューレック
内田光子
マリヤ・ユーディナ

これらの所見は、特にロマン派や20世紀の曲目の演奏における一流レベルでのピアノの演奏において、多くの女性達が彼女らのより小さな手のサイズのために自らの全潜在能力を引き出すことができていないという争点を立証しています。
特定のロマン派の作曲家を中心とするものを加えた広範な曲目を発表しなければならないそれら一流のコンクールにおいては、男性に対する女性の入賞者の割合は、およそ3または4対1となっています。
10度に対応できるほど大きな手のスパンを持つ男性と女性の比率がほぼ6対1であることを考えれば、女性達は驚くべき好成績を挙げており、恐らく多くの人数が高等レベルのピアノ演奏学習へ進むだろうことを映し出しています。

有名なスペイン人ピアニスト、アリシア・デ・ラローチャの手は小さかったとしばしば名前が挙げられます。
彼女は身長が低い(140cm、または4フィート7インチ)にもかかわらず、全盛期には女性にしては比較的大きな10度に届く手を持っていました。(1995年11月23日に発行されたニューヨーク・タイムズへのインタビュー。)
2015年のオーストラリア・ピアノ教育学会議に発表された、ボイル、ボイル & ブッカーによる最近の研究(http://www.appca.com.au/2015proceedings.php)では、大学生のグループの間での身長と手のスパンとの関連性に目を向けており、身長が手のスパンに対して比較的弱い予測因子であることが分かっています。言い換えれば、比較的大きなスパンを持つ背の低い人々や、比較的小さなスパンを持つ背の高い人々が存在しています。


References
参考文献

Booker, E., & Boyle, R.(ブッカー・E & ボイル・R)(2011年)。
Piano keyboards – one size does not fit all! Pianistic health for the next generation.(ピアノの鍵盤 – 1つのサイズが全ての人に合うわけではない!次世代のピアノ演奏の健康。)
Proceedings of the 10th Australasian Piano Pedagogy Conference: Leading Notes to Effective Teaching: Resolving the past - Exploring the future.(第10回オーストラレーシア・ピアノ教育学会議の議事録: 効果的な教育への導音: 過去を解決し、未来を探究する。)
Charles Sturt University(チャールズ・スタート大学)、Wagga Wagga, 4-8 July 2011.(ウォガウォガ、2011年7月4日~8日)。
http://www.appca.com.au/2011proceedings.php

Boyle, R., Boyle, R. & Booker, E.(ボイル・R、ボイル・R、& ブッカー・E)(2015年)。
Pianist Hand Spans: Gender and Ethnic Differences and Implications for Piano Playing.(ピアニストの手のスパン: ピアノの演奏に対する性別や人種の差と影響。)
Proceedings of the 12th Australasian Piano Pedagogy Conference, Beyond the Black and White, Melbourne, July 2015.(第12回オーストラレーシア・ピアノ教育学会議の議事録、白黒(二者択一)の域を越えて、メルボルン、2015年7月。)
http://www.appca.com.au/2015proceedings.php

Donison, C.(ドニソン・C)(1998年)。
Small hands? Try this keyboard, you’ll like it.(手が小さい?この鍵盤を試してみてください。あなたはそれを気に入るでしょう。)
Piano & Keyboard, July-August, 41-43.(ピアノ・アンド・キーボード、7月~8月、41-43。)
http://chrisdonison.com/keyboard.html

http://www.nytimes.com/1995/11/23/garden/at-home-with-alicia-de-larrocha-a-pianissimo-star.html




今回の内容に関しては、わざわざ調査結果を示されなくても、状況を見れば、何となく「そうだろうな・・・」と感じていらっしゃった方も多いのではないでしょうか。

テレビの音楽番組などを見ていても、バイオリン(弦楽器)を演奏されている方々には女性が目立ちますね。時には女性の方が多いことも。弦楽器に限らず、ピアノ以外の他の楽器でも、特にどちらが多いと感じたことは無いように思います。
ではピアノは、と言うと・・・時々女性も見かけますが、ほとんどの場合は男性が演奏されているように思います。

最近はそうでもないのかも知れませんが、私が小学生の頃などはクラスの女の子のほとんどがピアノを習っていました。男の子で習っている子はせいぜいクラスに1人いるかいないか程度。
ピアノを習うのは圧倒的に女の子の方が多いのに、なぜプロの世界(上のレベル)になると、途端に男性ばかりになるのか・・・子供の頃からとても不思議に思っていました。

今回の内容からは少し外れるかも知れませんが、興味深い記事を見つけました。
日本人のピアニストが国際コンクールで優勝できない理由について書かれています。

http://pianists.blog.so-net.ne.jp/2010-11-14

私には音大の事情は分かりませんが、もし仮に、この原因に手(鍵盤)の大きさの問題も含まれているとしたら、指導や練習だけで解決するのはちょっと難しいかもしれませんね。
『楽譜に書いてあるとおりに弾け。右手で弾く音符と左手で弾く音符が同じ拍にあったら同じ拍で弾け。それだけのこと。』とありますが、その“それだけのこと”が物理的に不可能な人が山ほどいるのですから・・・。


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