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ピアノを弾く人たちと弾かない人たちの手の大きさの比較 - ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS(和訳)

このページでは、細幅鍵盤関連の英語サイト、ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDSのメニューのPianists’ hand spansの中にある、Pianists versus non-pianistsという項目の和訳を掲載しています。

※ この翻訳文の元となる英語サイトの再編に伴い、和訳文も2019年8月27日に再編しました。



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Pianists versus non-pianists
- ピアニストとピアニスト以外の人たちの比較



ピアニストとピアニスト以外の人たちの手の幅(スパン)を比較するのは興味深いことです。
つまりは、ピアニストの手は全人口を反映しているのでしょうか。

公表されている詳細な人体測定データの多くは成人集団の無作為標本ではなく、例えば、ギャレット(Garrett)(1971年)、グライナー(Greiner)(1991年)、ドネルソン&ゴードン(Donelson & Gordon)(1996年)といったアメリカの軍隊要員からの測定値に基づいています。その他のデータは、例えば、ナッグ、ナッグ&デサイ(Nag, Nag & Desai)(2001年)や、セーンチャイヤ&バンテルンチット(Saengchaiya & Bunterngchit)(2004年)といった工業労働者に由来しています。ほとんどの場合、手のスパンは測定されていません。
アメリカにおける人間の手の多種多様な特徴の測定結果(ギャレット(Garrett)1971年)によると、測定された特性によっては、男女間の差は通常10%と20%の間に及びます。
例を挙げると、セーンチャイヤ&バンテルンチット(Saengchaiya & Bunterngchit)(2004年)や、ナッグ、ナッグ&デサイ(Nag, Nag & Desai)(2001年)や、マンダハウィ他(Mandahawi et al)(2008年)といったいくつかの比較用の手の人体計測データは、アジア系の人たちが一般に白人よりも手が小さいことを浮き彫りにしています。

ワグナー(1988年、p.117)は、その前の研究の、特にマッツドルフ(Matzdorff)(1968年)による研究に基づくと、音楽家は音楽家以外の人たちよりも手と指のスパンが長い傾向があると述べています。
手の長さと幅に関する様々な最近のデータから判断すると、ピアニストと一般の成人集団との間には、ピアニストの手のほうが幅が狭い傾向があるものの、手の長さに関しては目立った差はありません。
(詳細な統計分析は行われていません。)

オーストラリアのプロのオーケストラ・ミュージシャンを対象にした近年の研究(ドリスコル&アッカーマン(Driscoll & Ackermann)2012年)では、ここ、Hand span data - recent Australian study手のスパンのデータ - 近年のオーストラリアの研究)で述べられている、ピアニストを対象にしたオーストラリアの研究で見られたものと類似した平均的な親指から小指まで(1-5)のスパンが見つかりました。
ボイル、ボイル&ブッカー(Boyle, Boyle & Booker)(2015年)による論文に、ビジネスを専攻している大学生の手のスパンを対象に行われた個別の調査が記載されています。彼らの手のスパン(特に1-5(親指から小指)の幅)は、成人のピアニストのものよりも著しく小さいことが分かっています。この場合も先と同様に男女差や人種差が明白ですが、アジア人男性の平均のスパンはピアニストの調査における同じグループのそれよりも際立って小さいです。この学生の調査では身長も記録されており、 データの分析は、身長が手のスパンの予測因子として比較的弱いことを示しています。
参照: Hand span versus height手幅と身長との比較

ボイル、ボイル&ブッカー(Boyle、Boyle&Booker)(2015年)の論文で、ピアニストが人口全般よりも大きな手のスパンを持つ理由が論じられています。
楽器を長期にわたって演奏したことによる影響が要因になる可能性があると結論付けられていますが、その影響は、大きさの点では重要ではなさそうです(1-5のスパンで多くても0.2インチ(5 mm))。
自分の意志で選択している影響が最も関連している可能性があり、即ち、スパンの大きいピアニストは成功を収めてピアノの演奏が楽しいものだと気付きやすく、故に、大人になっても演奏を続ける傾向が強くなります。




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手の大きさと身長の比較 - ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS(和訳)

このページでは、細幅鍵盤関連の英語サイト、ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDSのメニューのPianists’ hand spansの中にある、Hand span versus heightという項目の和訳を掲載しています。

※ この翻訳文の元となる英語サイトの再編に伴い、和訳文も2019年7月30日に再編しました。



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Hand span versus height - 手幅と身長との比較


背の高い人たちは、背の低い人たちよりも手が大きい傾向があるのでしょうか。身長は手の幅(スパン)の信頼できる予測因子なのでしょうか。

大学のビジネスを専攻している学生のサンプルより収集されたデータ(ボイル、ボイル & ブッカー(Boyle, Boyle & Booker)、2015年)からの下のグラフでは、彼らの1-5(親指から小指)の手のスパンと相反して記されている背の高さが示されています。

この回帰分析では、人の身長と1-5(親指から小指)の手のスパンとの間には、弱いながらも明確な関連性があることが示されています(R2=0.41; p=0.00)。言い換えれば、人の身長は1-5(親指から小指)のスパンの手掛かりにはなるものの、完全な予測の判断材料にはなりません。
左上の象限にある、かなりの(9インチ(22.86 cm)より大きい)1-5のスパンであるにもかかわらず身長が63インチ(160 cm)しかない人という極端な例にご注目下さい。そして、右下の象限には比較的手の小さい長身の人たちが多数おり、多くの場合はるかに背の低い人たちよりも小さいです。

人間とは取るに足りないものなので、「彼らは手のスパンが小さいはずだ。」またその逆に、「背が高い人は手のスパンが大きいに違いない。」といった、人々が誤ってそのように結論付けているのを耳にしてしまうのはごく当たり前のことなのです。

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手の大きさに関するこれまでの調査 - ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS(和訳)

このページでは、細幅鍵盤関連の英語サイト、ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDSのメニューのPianists’ hand spansの中にある、Earlier hand span studiesという項目の和訳を掲載しています。

※ この翻訳文の元となる英語サイトの再編に伴い、和訳文も2019年7月2日に再編しました。



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Earlier hand span studies
- 過去の手のスパンの調査報告



過去の手のスパンの測定では、その人口母集団全体で大きなばらつきが見られました。
芳村氏とチェスキー(Chesky)氏(2009年)は、ノーステキサス大学の400人近くの演奏家の手のスパンの最小と最大の差が4インチ(11 cm)あったと報告しています。これはピアノの鍵盤ほぼ5個分の幅です!
米国音楽教師協会(MTNA - US Music Teachers National Association)の2004年の全米会議で、デイビッド・シュタインビューラー(David Steinbuhler)氏は160人のピアニストの手のスパン(親指から小指の幅のみ)を測定しました。左手と右手が混ざり合って測定されています。
ピアニストの有効な1-5(親指から小指)の手のスパンの分布が、シュタインビューラー氏によって作成された下の図表に示されています。
(参照: www.steinbuhler.com/html/our_research.html日本語版))
この場合もやはり、性別による違いが明白です。彼はピアニストの人種的背景を記録してはいませんが、混在していることが分かっています。

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過去のピアニストの手のスパンのデータ(ワグナー(Wagner)、1988年)とシュタインビューラー氏のデータを比較すると、その結果は上のページに記載されているオーストラリアの研究と概ね一致しています。
ここで留意すべきは、ワグナーのデータが外側の端ではなく指先の中心からの測定値に基づいているということです。しかしながら、この測定過程の違いは、1-5(親指から小指)のスパンの測定値よりも2-5(人差し指から小指)のスパン(ここに結果は表示されていません)に影響を及ぼすと思われます。
十分な大きさのサンプルの手のスパンのデータが正規分布に近似すると仮定すると、ワグナーによって様々な集約尺度が導き出されています。ボイル & ボイル(Boyle & Boyle)(2009年)はシュタインビューラー氏のデータのためにその集約尺度を展開させました。
表1は、これら2つのデータセットの男女間の差をまとめたものです。ワグナー(1988年)によって測定された対象者は、かなりの割合(男性の95%および女性の86.5%)が白色人種由来のものでした。
ワグナーのデータの女性のスパンがやや大きいのは、調査が行われたのが、国際的に評価が高い特別な音楽学校であったためです。それは多くの国々から生徒を最も引き付けていると考えられ、その結果、非常に小さいスパンの人たちが選定されにくかった可能性があります。

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またワグナー(1984年)は、自身のデータベースの中の2つのグループの男性ピアニスト、『成功を収めた演奏家』(著名なソリストや国際コンクールの優勝者)として分類した26人と、『問題のケース』(長期にわたって技術的課題や怪我の問題に苦しめられてきた人たち)の10人を比較しています。
彼らの手のスパンの差は、『成功を収めた演奏家』の9.2インチ(約23.4 cm)と比較して、『問題のケース』の8.7インチ(約22.1 cm)は統計的に有意でした。成功を収めたグループの2-5(人差し指から小指)のスパンも大幅に大きいものでした。




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手の大きさに関する調査 - ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS(和訳)

このページでは、細幅鍵盤関連の英語サイト、ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDSのメニューのPianists’ hand spansの中にある、Hand span data – recent Australian studyという項目の和訳を掲載しています。

※ この翻訳文の元となる英語サイトの再編に伴い、和訳文も2019年6月16日に再編しました。



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Hand span data - recent Australian study
- 手のスパンのデータ - 近年のオーストラリアの研究



The Australian study - オーストラリアの研究

オーストラリアのピアニストを中心とした近年の研究で、手の幅(スパン)やその他のデータが収集されました。オーストラリア・ピアノ教育学会議で2015年12月に発表されたBoyle, Boyle & Booker(ボイル、ボイル & ブッカー)による論文に、その結果が記載されています。(http://www.appca.com.au/proceedings/
いくつかの重要な結果が以下に示されています。概要資料をダウンロードすることもできます。
http://smallpianokeyboards.org/wp-content/uploads/2019/02/NCKP-Hand-span-data-Statistics-Summary-2015-1.pdf
473人の成人のピアニストの手のスパンのデータの分析には、性別および人種の違い、手のスパンとピアニストの『評価のレベル』との比較、およびビジネスコースを受講している大学生(即ち、大部分がピアノを弾かない人たち)の独立した研究との比較の推定値が含まれています。
結果は、ピアニストとピアニスト以外の人たちを対象とした先行研究とも比較されました。
参照: Earlier hand span studies/過去の手のスパンの調査報告

2つの手のスパン測定値、すなわち両手の親指から小指(1-5)および人差し指から小指(2-5)の有効なスパン(平らに手を広げた最大値)が集められました。
手のスパンに関する詳細は、Measuring hand spans手のスパンの測定をご参照下さい。


Gender differences - 男女差

下の図は、親指から小指のスパンにおける、おおよそ1インチ(2.5cm)の顕著な男女差を示しています。
この研究によると、男性の平均の親指から小指のスパンは8.9インチ(22.6cm)女性は7.9インチ(20.1cm)で、5%レベルで統計的に有意な差があります。左側の頂点が高いのは、サンプル中の女性ピアニストの割合が高いことを示しており、男女比は約2:1です。
また、女性の平均に満たないスパンを持つ男性はごくわずかな割合(この研究では2%)しかおらず、男性の平均より大きいスパンを持つ女性もごくわずかな割合(2.9%)しかいないこともわかります。
下の表は、1-5(親指から小指)のスパンと2-5(人差し指から小指)のスパンの両方の基本的な集約尺度を示しています。2-5(人差し指から小指)のスパンのおおよそ0.5インチ(1.27cm)の男女差も統計的に有意です。

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Ethnic differences - 人種差

これは、知られている限りの最初のピアニストの手のスパンの人種差を分析する研究です。
オーストラリアの研究に参加した473人のピアニストのうち、456人はアジア系か、あるいは白色人種の血統として分類され、残りの17人の混合または他の系統はこの分析から除外されました。
下の表は、1-5(親指から小指)のスパンの結果をまとめたものです。
この調査に基づくと、白人男性のスパンはアジア人男性のものより0.3インチ(約8mm)大きく、そして白人女性のスパンはアジア人女性のものより0.2インチ(約5mm)大きいということです。2-5(人差し指から小指)のスパンの分析では、男性にも女性にも統計的に有意な人種差は見られません。

注目すべき点は、この研究に基づくと、1-5(親指から小指)のスパンの人種差(約4分の1インチ(0.6 cm))が、全体の男女差の1インチ(2.54cm)よりはるかに小さいということです。白色人種とアジア人が別々に分析された場合、同様の男女差は一目瞭然です。
1-5(親指から小指)のスパンの人種差はすべて統計的に有意です。

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Hand span versus 'Level of acclaim'
- 手のスパンと『評価のレベル』との比較

オーストラリアの調査対象のピアニストが、演奏家としての成功に基づく『評価のレベル』によって分類されました。
広範な曲目にわたる成功を収めた長期のソロ演奏の経歴、および主要な国際コンクールでの成功の、両方またはいずれか一方に基づく『国際的な』知名度を持つ12人のピアニストがいます(一部、他国から訪問した演奏家を含む)。さらに『国内で』有名な51人が、主に本国での(必ずしもそのような広範囲な曲目にわたるわけではない)ソリスト、室内演奏者、または伴奏者としての長期公演の経歴や、または主要な国内コンクールのどちらか一方での成功に基づいて識別されました。残りすべてのピアニストは『地域的/アマチュア』として分類されました。

下は、2004年にディビッド・シュタインビューラー氏によって作成されたものと同様に、オーストラリアの調査におけるすべての成人ピアニストの有効な1-5(親指から小指)の右手のスパンの寸法の図表です。
Earlier Hand Span Studies/過去の手のスパンの調査報告を参照。)
男女差を浮き彫りにしているだけでなく、それら『国際的な』および『国内での』評価を受けるピアニストを示しています。これは、『国際的な知名度を持つピアニスト』すべてのスパンが8.8インチ(約22.4cm)かそれ以上であること、そして、女性の平均である7.9インチ(約20cm)を下回るスパンの『国内で有名なピアニスト』もほとんどいないことを示しています。

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この表は、これら3つの『評価のレベル』のグループの手のスパンをまとめたものです。
その差は5%レベルで統計的に有意です。
また、2-5(人差し指から小指)のスパンを見た場合にも顕著な差が明らかとなっています。

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男女差で見ると、下のグラフは3つの『評価のレベル』のグループのそれぞれにおける男性と女性の相対的な比率を比較しています。

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Children's hand spans - 子供の手のスパン

これと同じオーストラリアの研究では、6歳から17歳までの49人の子供や10代の若者からも手のスパンのデータが集められました。
グラフからわかるように、彼らの1-5(親指から小指)の手のスパンは、5.8インチ(14.7 cm)から9.2インチ(23.4 cm)までの広い範囲に及んでいました。予想通り、年長の子供たちがより大きなスパンを持つ傾向がありました。
この小さな標本は予想される別のパターンも示しており、つまり、年齢段階が上がるにつれて、手のスパンのばらつきが広がっています。各年齢群の手のスパンは、女児と男児に分けられた場合、ほぼ正規分布になると考えられます。

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鍵盤が今の幅になった時代背景からDS規格鍵盤が誕生するまで - ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS(和訳)

このページでは、細幅鍵盤関連の英語サイト、ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDSの、Keyboard historyのページの和訳を掲載しています。

※ この翻訳文の元となる英語サイトの再編に伴い、和訳文も2019年5月16日に再編しました。



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Keyboard history - 鍵盤の歴史


Early history - 前史

ピアノの鍵盤は昔からずっと現在のサイズとは限らず、それらは1784年から1876年の間は幅の狭い鍵盤でした。
酒井氏(2008年)は1559年まで遡って様々な鍵盤楽器の鍵盤のスパンの変化を立証しています。
参照: http://www.steinbuhler.com/html/our_research.html
それらは(8個のキーの幅で測定された)クラヴィコードの鍵盤の180mmから、モダン・ピアノの鍵盤の188mmまでに及んでいます。
最も有名なピアノ曲の多くは、鍵盤が小さく(キーの幅が狭く)、曲目にオクターブより大きな音程が滅多に含まれていなかった、1750年から1850年までの時代に書かれています。

19世紀には、リスト(Franz Liszt)などのヨーロッパ人作曲家が大手メーカーと強い結び付きを持っており、メーカーは自社の製品を市場に出すために、これらの作曲家や名演奏家による巡回公演を企画しました。
彼らはさらに、コンサート・ホールの建設や管理も行っていました。例を挙げれば、アントン・ルビンシテイン(Anton Rubinstein)パデレフスキ(Ignacy Jan Paderewski)が、ともに1800年代後半にスタインウェイのためにアメリカで巡回公演を行っています。

料理や裁縫のように、ピアノの演奏は中流や上流階級の女性の非常に望ましい嗜みと考えられていました。彼らにとってピアノは、求愛儀式など、家庭内活動に欠かせないものでした。
自宅で演奏していたアマチュア(殆ど女性)と人前で演奏する演奏家(殆ど男性)との間には明らかな区別が存在していました。1800年代にパリ音楽院男女別々のコンクールが開催されました。女性には堂々として女性らしく、淑やかであることが求められており、カール・ツェルニー(Karl Czerny)やその他の人たちから幾つかのタイプの曲目を弾かないよう警告を受けていました。真っ向から男性と比べることは快く思われていませんでした。
チェコの会社は『婦人』用の小さい鍵盤を販売していました。


The 20th century - 20世紀

今日の鍵盤のサイズは、リスト(Franz Liszt)などがメーカーに積極的に関与していた時代から間もない1880年頃まで遡ります。
それ以後の注目すべき例外としては、前世紀の初め頃にヨゼフ・ホフマン(Josef Hofmann)のためにスタインウェイ・アンド・サンズによって特別に造られた(キーの幅の狭い)小さな鍵盤が挙げられます。1986年に、スタインウェイ・ハンブルグがクリストフ・ワグナー教授(Prof Dr Christoph Wagner)(1974-1993年、ハノーバー音楽生理学研究所(Hanover Institute of Music Physiology)の創設者兼責任者)に提供した証拠書類で、ホフマンの鍵盤は標準のものより3.5cm細かったと述べられています。これは標準より0.5cm小さい16cm(6.3インチ)のオクターブ幅であることを指しています。
この手紙の原本の写し(ドイツ語)と英語の翻訳がこちらから入手できます。

http://smallpianokeyboards.org/wp-content/uploads/2019/03/Steinway-letter-to-ChWagner_Hofmann-keyboard_1986_original.pdf

http://smallpianokeyboards.org/wp-content/uploads/2019/03/Steinway_Wagner_Hofmann-keyboard_1986_engl2017.pdf


ホフマンの手のスパンに関連したこれらの鍵盤に対する更なる見解については次のURLにアクセスしてください。
http://paskpiano.org/keyboard-history/
また一方で、他にもホフマンが自身の演奏経歴の間に造ったというもっと小さい鍵盤もあったという証拠もあります。
参照: http://dsstandardfoundation.org/piano-keyboards-of-the-past/

19世紀後半から20世紀初頭にかけての他の変化としては鋳鉄フレームの使用が挙げられ、それはアクションの重さ、キーの長さ、白鍵の上の黒鍵の高さが増し、白鍵と黒鍵の垂直の下がり込みがより重く、深くなる原因となった弦の張力の増加をもたらしました。
ピアノの進化に伴い、(プロやアマチュアの)ピアニストが自分の地域から出始めるにつれて規格化の必要性が高まったため、前世紀には『one size fits all(どんな人にも合うフリーサイズ)』というやり方が広く行き渡ることとなりました。

『そのピアノのサイズもまた、少年少女に異なった影響を及ぼしました。18世紀においては、ピアノはハープシコードくらいの大きさで、大抵はより小さいものでした。
19世紀の初めでもやはり、床面の高さに登場したペダル、両方向に大きくなった鍵盤、そして最新の曲目に度々現れるオクターブのパッセージによって、ピアノは突然、それを習う子供達にとって、大人の世界で見合うために彼らがどれほど頑張らなければならなかったかという、気力を失わせるような日々を思い出させるものになってしまいました。
子供は異なる速度で成長し、人より早く成長してピアノが弾けるようになる子もいます。ですが、少年達よりはるかに多くの少女達が、楽器も、そして大きな手の男性によって作曲された曲目のパートも、自分達の手が届く範囲には全く無いのだろうと感じていました。
楽器自体がサイズを変えようとしなかったので、ピアニストの椅子がそれに適応するための、子供や様々な大きさの演奏者を助ける一般的な主要手段となっています。』

・・・・パラキラス(Parakilas)他、1999年、Piano Roles(ピアノの役割)、p.151。

ラルフ・マンチェスター(Ralph Manchester)博士は、『one size fits all(どんな人にも合うフリーサイズ)』という方法の問題について以下のように約言しています。

『楽器の設計は長い期間をかけて徐々に展開してきており、そしてそれが現在私たちの直面している問題の一端となっています。
それらの楽器の設計者は、ほとんどの場合数十年もの間住まいも仕事も主にヨーロッパにあった数世紀前の(女性よりはむしろ)男性達でした。彼らが、自分たちが使えて、殆どが男性だった当時の大多数の音楽家に支持される楽器を設計した可能性が高いです。
現在音楽家は、はるかに多くの女性、比較的少数のヨーロッパ系の人々、そして様々な身体障害のあるより多くの人々といった多岐にわたるグループから成っています。それにもかかわらず、私たちは、極めて同種の演奏者のグループのために設計された楽器を未だに演奏しているのです。』

(社説、MPPA、2006年12月。)

1880年以降、ピアノを専攻するアジア系の学生数が大幅に増加しただけでなく、演奏家としてのキャリアを積むことを目的として高等レベルのレッスンに取り組む女性も非常に増えていきました。
女性の手は男性よりも約15%小さく、アジア人の手は白色人種よりも小さいのです。加えて、20世紀のピアノ曲は、17~19世紀に作曲された曲目よりも大きな手のスパンを度々必要とします。


The invention and development of the DS Standard® piano keyboard with narrower keys
- キーの幅の狭いDS規格®のピアノ鍵盤の発明と開発

1990年代初頭、カナダのブリティッシュ・コロンビア州のピアニストで作曲家、および指揮者のクリストファー・ドニソン(Christopher Donison)氏は、ペンシルベニア州の繊維製品メーカーで技術者のディビッド・シュタインビューラー(David Steinbuhler)氏と出会いました。
彼らは共に、広く利用可能になりつつある第2の公式な鍵盤サイズ(DS規格®の長期目標を抱き、それを生み出しました。

1994年にシュタインビューラー社(Steinbuhler & Company)によって最初の試作鍵盤が造られました。
1996年に同社で初めて販売されたのは、それを試してみるためにカナダのブリティッシュ・コロンビア州から飛行機で飛んできたカナダ人ピアニストのリンダ・グールド(Linda Gould)氏へのものでした。彼女は、自身のヤマハのグランドピアノ用にDS5.5®鍵盤を買うことを即決しました。
ここで彼女の話を聞くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=Jn9-c8n0Q3s&list=PLHBn-VaaOCGcAanKWSo7pCA0GFfQa7N1b

1998~2005年の間、シュタインビューラー氏は全種類のピアノの鍵盤のサイズを試すために、ペンシルベニア州のタイタスビルにある自社の施設に成人のピアニストを招待しました。参加者は検証作業や大きさの違う鍵盤の間での交換に数時間から数日間もの時間が使えました。標準鍵盤に加えて、少なくとも2つのより小さな鍵盤サイズに対する強い欲求があることが明らかになりました。
手の小さいピアニストのための最も実用的なサイズの鍵盤を決定するため、全幅で38~42インチ(96.5~106.7cm)ある5つの鍵盤を使った詳細な調査が行われました。およそ15人のピアニストがこれらの鍵盤を試しました。
全員が最も小さな鍵盤を演奏することを望みましたが、40インチ(約101.6cm)未満では、指の細い最も手が小さい人達を除く全ての人達にとっては黒鍵の間のスペースが窮屈になりすぎてしまうことに気付きました。

そのため、鍵盤の小さいピアノを設置する初めての米国の大学であるテキサス州の南メソジスト大学は、2000年にサイズの小さい手のための利用可能な最善の選択肢として41インチ(約104.14cm)を選びました。SMU(南メソジスト大学)の鍵盤楽器学科の学科長であるキャロル・レオーネ(Carol Leone)博士は鍵盤の利点に関する研究を始めました。
これらの小さい鍵盤のアクションは、最低限の技術的な調整をするだけで同じ製造社やモデルのピアノに取り付けることもできます。レオーネ博士は、彼女の鍵盤アクションを持参して移動し、他のアメリカの大学でその使用を実証しました。
結果的にこれらの大学の殆どが学生の使用や更なる研究用に自校の鍵盤アクションを入手しました。

その後3つの規格が次の通りに確定しました。(既定のオクターブ測定値は白鍵7個分の全幅を示す)

DS6.5™(標準鍵盤)
オクターブ: 6.5インチ(16.5cm)
全幅: 48.29インチ(122.7cm)

DS6.0®(ユニバーサル鍵盤、標準の15/16の幅)
オクターブ: 6.0インチ(15.2cm)
全幅: 44.57インチ(113.2cm)

DS5.5®(7/8鍵盤)
オクターブ: 5.54インチ(14.1cm)
全幅: 41.14インチ(104.5cm)

シュタインビューラー社はここ最近、さらに小さい以下のサイズを追加しています。

DS5.1®(子供用鍵盤)
オクターブ: 5.11インチ(13.0cm)
全幅: 37.94インチ(96.37cm)

上記のホフマンの鍵盤のサイズはオクターブが6.3インチ(約160cm)で、DS6.5™DS6.0®の間のサイズでした。

近年、著名なピアニストで指揮者のダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim)氏は、キーの幅の細い鍵盤のスタインウェイでの周遊や公演を行っています。


Terminology, references and links - 用語、参考文献、およびリンク

ESPKErgonomically Scaled Piano Keyboard(人間工学的にスケーリングされたピアノ鍵盤))という用語は、現在の『一般的な』サイズ(すなわち6.5インチのもの)より小さい鍵盤を指す際に、現在主に学界にて使われています。
『reduced-size keyboard(サイズを小さくした鍵盤)』という用語を使用している文献もあります。
ここで留意すべきもやはり、キーの幅が『一般的な』鍵盤のほぼ7/8(ただし、少しだけ異なる)であるために、DS5.5®がよく『7/8鍵盤』と称されていることです。同様に、DS6.0®もしばしば15/16鍵盤と称されています。
ESPKは他のサイズ、すなわちDS規格に当てはまらない鍵盤も含んだ総称です。
DS』という略称は、Donison-Steinbuhler(ドニソン-シュタインビューラー)を表しています。(クリス・ドニソン(Chris Donison)氏とディビッド・シュタインビューラー(David Steinbuhler)氏は、主に北米でアコースティック・ピアノ用のキーの幅の狭いピアノ鍵盤の導入への道を切り開きました。)
PASK運動(Pianists for Alternatively Sized Keyboards(鍵盤サイズの選択を支持するピアニスト))では、『reduced size』が、“キーの数が少ない”という意味を暗に含む恐れがあることによる言葉の意味の取り違えを防ぐため、『alternative sizes(選択できるサイズ)』という一般用語を用いています。

http://www.steinbuhler.com/html/our_research.html

http://www.nytimes.com/2008/11/23/arts/music/23kimm.html?pagewanted=all&_r=2&

https://en.wikipedia.org/wiki/Social_history_of_the_piano



Booker, E., & Boyle, R.(ブッカー・E、& ボイル・R)(2011年)
Piano keyboards – one size does not fit all! Pianistic health for the next generation.(ピアノの鍵盤に誰にでも使える1つのサイズなどありません!次世代のピアノ演奏の健康。)
Proceedings of the 10th Australasian Piano Pedagogy Conference: Leading Notes to Effective Teaching: Resolving the past - Exploring the future.(第10回オーストラレーシア・ピアノ教育学会議の議事録: 効果的な教育への導音: 過去を解決し、未来を探究する。)
Charles Sturt University(チャールズ・スタート大学), Wagga Wagga, 4-8 July 2011.(ウォガウォガ、2011年7月4日~8日。)
http://www.appca.com.au/proceedings/

Deahl, L. & Wristen, B.(ディール・L、& ライステン・B)(2003年)
Strategies for small-handed pianists.(小さい手のピアニストのための戦略。)
American Music Teacher(アメリカン・ミュージック・ティーチャー), 52 (6), 21-25.
http://www.thefreelibrary.com/Strategies+for+small-handed+pianists.-a0102521600

Donison, C.(ドニソン・C)(1998年)
Small hands? Try this keyboard, you'll like it.(手が小さい?この鍵盤を試してみてください。それを気に入るでしょう。)
Piano & Keyboard, July-August(ピアノ・アンド・キーボード、7月~8月), 41-43.

Donison, C.(ドニソン・C)(2000年)
Hand size versus the standard piano keyboard.(手のサイズと標準のピアノ鍵盤との比較。)
Medical Problems of Performing Artists, 15, 111-114.(アーティストの医学的問題、15、111-114。)
http://chrisdonison.com/keyboard.html

Manchester, R.(マンチェスター・R)(2006年)
Musical instrument ergonomics (editorial).(楽器人間工学(社説)。)
Medical Problems of Performing Artists(アーティストの医学的問題), 21 (4), 157-158.

Parakilas, J. & others.(パラキラス・J、& 他)(1999年)
Piano Roles: Three Hundred Years of Life with the Piano(ピアノの役割: ピアノのある人生の300年), Yale University Press(イェール大学プレス), New Haven and London(ニューヘイブンおよびロンドン).

Sakai N.(酒井・N)(2008年)
Keyboard span in old musical instruments.(古楽器の鍵盤のスパン。)
Medical Problems of Performing Artists(アーティストの医学的問題), 23, (4), 16-171.

Wagner, Ch.(ワグナー・Ch.)(2005年)
Hand und Instrument.(手と楽器。)
Breitkopf & Härtel(ブライトコプフ & ヘリテル), Wiesbaden-Leipzig-Paris(ヴィースバーデン・ライプツィヒ・パリ), p. 228-240.




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